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競争法によるオンライン・プラットフォーマー規制とギグ・ワーカーの保護に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01326
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05040:社会法学関連
研究機関弘前大学

研究代表者

長谷河 亜希子  弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (00431429)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード競争法 / フリーランス / 独占禁止法 / 下請法 / フリーランス新法 / 労働市場 / 反トラスト法 / プラットフォーム / no-poach / 経済法 / フランチャイズ / プラットフォーム労働 / ギグ・ワーカー / 優越的地位の濫用
研究開始時の研究の概要

近年、フリーランスやオンライン・プラットフォームを介して短期もしくは不定期の仕事を受注するギグ・ワーカーの労働条件・契約条件が問題視されている。彼らは、通常、個人事業主に分類され、労働法による保護を受けることができない。しかし、(1)役務発注者等によるギグ・ワーカー等に対する欺瞞的な勧誘、(2)ギグ・ワーカーらと発注者間の交渉力の不均衡、(3)役務発注者によってギグ・ワーカーらに課される不当な契約条項や不公正な取引慣行、といった問題が生じている。これら諸問題を改善する方策を主として経済法(競争法)の観点から探る。

研究実績の概要

本研究は、競争法・経済法の観点から、ギグワーカー、フリーランス等の個人事業主が抱える諸問題の対応策について検討することを目的としている。2023年度は主に次の4点について研究を進めた。
1)前年度に続き、使用者の反競争的行為に対する米国司法省反トラスト局(DOJ)と連邦取引委員会(FTC)の動向を検討した。賃金カルテル、引抜禁止協定の刑事訴追事案のその後の動向などを検討したほか、新合併ガイドライン(労働市場の画定に関し詳細に言及している)、FTC法5条を活用することによる、競業避止義務規制・労働プラットフォームの不公正なアルゴリズム規制・誤分類問題への対応・欺瞞的顧客誘引規制等について分析を行った。
2)フリーランスの団体行動に関する競争法上の取り扱いについて、米国(FTCのPolicy Statement on Enforcement Related to Gig Work)や、EUの「単独自営業者の労働協約に対するEU 競争法の適用を明確にするガイドライン」等の分析を通じて、各国のフリーランスの団体交渉促進政策の動向を示すとともに、日本の独禁法上の取り扱い(独禁法制定時から中小零細事業者が共同することを重要視する方向性や、そもそもカルテルは原則違法ではなく競争の実質的制限が生じない限り違法にはならない)についても改めて提示した。
3)いわゆるフリーランス新法(特定受託授業者に係る取引の適正化等に関する法律)について、下請法との比較等を用いて検討をした。加えて、独禁法・下請法・フリーランス新法で、フリーランスが直面する問題を、どこまで規制可能か詳細に分析をした。
4)EUに関しても、使用者の反競争的行為に関する欧州各国の競争当局の規制動向、EUのプラットフォーム労働指令案や上記ガイドライン公表後の協約締結をめぐる動向などを紹介した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年に引き続き、労働問題への競争法の適用に関する米国競争当局の新たな制作・法執行動向に関する分析を行うことができた。近年、毎年のように新しい動向が見られる分野であり、前年度の分析を次年度へとつなげることができている。また、これまで、同分野に関するEUにおける動向(とりわけ各国における規制)については検討が手薄であったが、本年度は、その点に関しても着手ができた。また、いわゆるフリーランス新法についても分析を行った。新法に関しては、これから指針等が公表される。今年度の研究を足掛かりとして、新法に関する指針等の分析へとつなぎたい。また、労働プラットフォームの中でもデリバリー系のドライバーに対しては、様々な差別やハラスメントが行われている可能性については以前から指摘されていたことから、どこかで改めて検討を行う必要性を感じていたところ、本年度はその点に関する研究も行うことができた。フリーランスに関するハラスメントは、フリーランスが直面する問題の中でも、極めて大きな割合を占めている。この問題を、独禁法等でどこまで補足できるかに関する詳細な検討も行うことができた点も成果の一つと考えている。

今後の研究の推進方策

まず、引き続き、労働市場に関係する米国の競争当局の動向等について研究を進めたい。例えば、競業避止義務禁止規則が公表された。既に違憲訴訟が提起されているが、かなり議論を呼ぶ規則であることは間違いがない。
次に、フリーランス新法に関する指針等が現在パブリックコメントにかかっている。2024年5月末には公表される予定である。この指針等により、ようやく新法の具体的全体像が明らかになる。従って、その分析も行いたい。
他にも、ジェンダー・インクルーシブ競争法といった概念が少しずつ広まってきている。これは、フェミニズムに基づいた分析レンズを競争法において採用することで、競争法の執行や調査・分析に何らかの偏見・差別が埋め込まれていないか点検をし、あらゆる人々をより広く包摂するアプローチを目指している。競争法の執行に際して、ジェンダーの視点を取り入れることで、実は、女性や低所得者(低賃金労働者)、高齢者など特定の集団への不利益が生じるような競争法違反行為を見落とすことを防ごう、という趣旨である。米国のパッカーズアンドストックヤード法(食肉に関する不公平な家畜取引や価格形成などを禁止する法律)の規則が、そのような観点からを取り入れて改定されるなどの動向が見られるようになってきており、この点についてもアンテナを張って研究を進めていく予定である。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 2019

すべて 雑誌論文 (12件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 労働プラットフォームと経済法-デリバリー系を中心にー2024

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      土田和博編著『デジタル・エコシステムをめぐる法的視座』日本評論社

      巻: なし ページ: 207-224

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] フリーランスの取引適正化の動き―特定受託授業者に係る取引の適正化等に関する法律をどう見るか2023

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      中小商工業研究

      巻: 157 ページ: 57-62

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] フリーランスと経済法(独禁法・下請法・フリーランス新法)2023

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      鎌田耕一・長谷川聡編著『フリーランスの働き方と法ー実態と課題解決の方向性』日本法令

      巻: なし ページ: 294-348

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 欧米競争当局の労働問題への取り組みと日本の競争政策への示唆2023

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      公正取引

      巻: 878 ページ: 23-27

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 労働市場におけるフェアネス-競争法の観点から-2022

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      日本経済法学会年報

      巻: 43 ページ: 16-34

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 使用者団体と産業別労組による最低賃金をめぐる団体協約と独禁法―日本港運協会事件・鑑定意見書2022

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      労働法律旬報

      巻: 2020 ページ: 12-23

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ミニストップ新契約の優越的地位の濫用該当性について2022

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      中小商工業研究

      巻: 153 ページ: 66-72

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 米国のフランチャイズ契約におけるno-poach条項について2022

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      土田和博ほか編『現代経済法の課題と理論 金井貴嗣先生古稀祝賀論文集』

      巻: なし ページ: 137-153

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] デジタル・プラットフォームをめぐる課題改善に向けて―労働プラットフォーマー規制を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      中小商工業研究

      巻: 149 ページ: 20-28

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 優越的地位の濫用規制とフランチャイズ問題:改正フランチャイズ・ガイドラインを素材として (特集 優越的地位濫用規制)2021

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      公正取引

      巻: 854 ページ: 12-17

    • NAID

      40022777565

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 日本におけるフランチャイズ法制定の必要性-諸外国のFC規制から学ぶべきもの-2020

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      中小商工業研究

      巻: 145 ページ: 53-61

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] フリーランスの育成・支援に必要なもの2019

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 雑誌名

      中小商工業研究

      巻: 141 ページ: 34-41

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 労働法と経済法の協働-米国競争当局の動向を参考に-2023

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 学会等名
      日本労働法学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 労働市場におけるフェアネス―競争法の観点から2022

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 学会等名
      日本経済法法学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「社会関係のDXと経済法―プラットフォーム労働を中心に―」2021

    • 著者名/発表者名
      長谷河 亜希子
    • 学会等名
      民主主義科学者協会法律部会2021年度学術総会ミニシンポ「デジタル改革関連法による国家・社会関係の「転形」と論点」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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