研究課題/領域番号 |
19K01328
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 法政大学 (2020-2023) 横浜国立大学 (2019) |
研究代表者 |
青柳 由香 法政大学, 法学部, 教授 (60548155)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 入札 / EU / 調達 / 公共調達 / 競争法 / 競争 / 市場 / 経済活動 / 国家の競争中立性 / 独占禁止法 |
研究開始時の研究の概要 |
国家等は公共調達で事業者等から物品・サービス等を入手するが、これにより市場競争が歪曲される場合がある(国家の競争中立性問題)。この問題の研究は日本では萌芽期にありほとんど先行研究ないので、EUにおける加盟国の公共調達に対する競争政策的観点からの厳格な規律と活発な議論を比較法的検討の素材として、以下の課題を明らかにする。 (1)公共調達が国内の市場競争を歪曲するメカニズムはいかなるものか。 (2)EU において、どのような公共調達が競争政策上適切であると考えられているか。 (3)EU の法制度からの示唆を受け、日本の規律にどのような修正がなされるべきか。
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研究実績の概要 |
今年度は、これまでに実施したEUの公共調達に関する法制度についての理解をさらに精緻化させ、また判例・学説の状況等について検討の範囲を広げ、全体的な考察を行った。これに基づいて、コロナ新型感染症の蔓延により延期していた海外の研究者および実務家との意見交換を実施した。これは主にEUの研究者および実務家(自治体やEU機関等の入札実施担当者や、弁護士等)である。意見交換においては、特に、入札制度の背景にあるEUレベルの法制度および判例についての理解を深めることができた。とりわけ、EUにおける、公共調達の場面での公平な競争条件(level playing field)の実現について、ガイドラインを含めて法制度によってどのように考えられているか、実務家の意識を知ることができた。 また、意見交換を通じて入札実務について実態・課題等について知見を得ることができた。特に、グリーン・ニュー・ディール政策のもとにおける入札制度のあらたな変更は、EUの実務においてもまだ初期であり、既存の法制度および判例法理にどのように組み込まれるか不明な点などもあり、課題があることがわかった。日本の入札制度においては、このような取り組みは必ずしも明確ではないように思われるので、「あるべき入札制度」ないし「あるべき公共調達制度」という観点から、その導入における困難について示唆を得ることができるように思われる。 くわえて、近時の日本の入札に関連するいくつかの事例について、学説による批判を含め、検討を行った。 これらに基づき、論文の執筆を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響により、研究計画策定時に予定した海外の研究者との意見交換および資料収集が遅れた。このように遅れたことの研究全体への影響がいまだあると言える状況である。とはいえ、それ以外の判例や先行研究などの文献研究は入手できないものを除いて順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに実施した、EUにおける公共調達制度に関する法制度・ガイドライン、判例、および学説についての検討に基づき、公共調達により市場競争が歪曲されうると考えられる状況をいくつか析出し、そのメカニズムを検討し、またEUにおいてそれに対してどのような法制度等による手当がなされているか、またそこから得られる日本への示唆等を論文として本研究の成果としたいと考えている。論文は大学の紀要等で公表することを予定している。機会があれば研究会や学会等における報告等も実施したいと考えている。
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