研究課題/領域番号 |
19K01333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川濱 昇 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (60204749)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 市場支配力 / セオリー・オブ・ハーム / 排除行為 / 非ハードコアカルテル / 消費者厚生 / 社会的厚生 / デジタル・プラットフォーム / 反競争効果 / theory of harm / 市場支配力基準 / 競争の実質的制限 / 分配問題 / 厚生基準 / 私的独占 / 反事実的分析 |
研究開始時の研究の概要 |
市場支配力分析は日米EUの競争法のいずれでもその最重要課題であるとされてきた。しかし、企業結合規制以外の領域では市場支配力分析の実体は不明な点が多い。米国・EUでは市場支配力は主にその存在を問題とし、変動についての分析は従来不明な点が多かった。わが国では反競争効果の判断基準である市場支配力の変動の問題であることが明示化されているものの、その分析は企業結合分析を除くと不十分である。存在と変動問題の区別を認識した上で、米国・EUの市場支配力分析の比較法することを通じて、存在問題が変動問題に与える影響を分析し、比較法研究を精緻化するとともに、市場支配力分析を再構成する。
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研究成果の概要 |
市場支配力にはその存在の問題と変動の問題の2つがある。日本法では変動だけが法律要件となっているが、それを意識せず混同すると法解釈の混乱が生じる。市場支配力基準は消費者厚生を改善する効果をもつ。しかし、消費者厚生は目的であっても基準ではない。そう理解しないと過小規制になることを示した。市場支配力の存在は法律要件ではない。しかし、存在と規模は市場支配力の変動を分析するとき重要である。たとえば非ハードコアカルテルでは、当事事業者がグループとして潜在的に有する市場支配力と程度を前提に、市場支配力の変動分析が可能になる。排除行為についても同様の結果となることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
市場支配力に関して、その存在と変動を識別した分析はこれまで見られなかった。この視点を導入することで、非ハードコアカルテルの反競争効果の立証手順を定式化できた。また、各種排除行為による反競争効果の発生機序を明確化することもできた。いずれにおいても、事前に市場支配力が存在することとその程度が重要な重要な意味をもつが、必要とされてる程度は行為類型によって異なることを明らかにし、多くの先例がこの視点で説明できることも示した。事前の市場支配力と行為のタイプで悪影響の発生機序を説明するという本研究は、強固な独占力を有するデジタルプラットフォーム事業者への予防的規制の根拠を考える上でも意味をもつ。
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