研究課題/領域番号 |
19K01344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
嶋矢 貴之 神戸大学, 法学研究科, 教授 (80359869)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 正当防衛 / 性犯罪 / 暴行・脅迫 / 社会的相当性 / 違法性阻却 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の最終的な目標は、日本社会及び日本の法制度の下、刑事的規制に服することなく、社会内で実力行使が許されるのはどのような場合か、どの程度まで許されるかについて、明らかにしようとするものである。総論である正当防衛のみならず、各論的な窃盗罪や誘拐罪での違法性阻却を視野に入れ、共通する考慮要素の析出を行いつつ、歴史研究や判例の網羅的研究の手法により、正当化される実力行使の条件の予備的な考察を行う。
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研究実績の概要 |
まず、正当防衛に関して、平成29年最高裁判例以降の下級審裁判例を収集し、分析を行い、研究者・実務家とのアドホックな研究会において報告を行った。相互闘争状況について、前記判例において、積極的加害意思論から対抗行為に先行する事情を総合的に考慮する方向が示されたところ、そのような裁判例において、実際にどのような考慮がなされているかを明らかにした。また、それとは別の法理として、平成21年の自招侵害に関する判断は、下級審裁判例の中でも別個独立のものとして存続していることも明らかとなった。くわえて、従来は注目されてこなかった急迫不正の侵害の「不正」判断が、裁判例の中で比較的多く目につくことも明らかとなった。この点は、総合的考慮をする以前に、正当防衛を否定する判断を明確に行うことが可能となると同時に、それが機能する場面は限定されるのではないかということが検討から明らかになった(後述のとおり、本研究については雑誌連載への掲載を行う予定である)。 次に、性的行為に関して、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会において、幹事を務め、新たな性犯罪立法をめぐる議論に参画した。性犯罪における、暴行・脅迫要件の在り方や、準強制性交等罪の抗拒不能要件の在り方に関し、従来の規定ぶりを大きく変更する立法がら2023年度中になされる予定である。 そのほか、学習用の共著の事例演習書(後掲「徹底チェック刑法」)において、共犯と正当防衛、性的自由に対する罪、強盗関連項目など、本研究課題に関連する項目の執筆を行い、公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究会での報告や実務家とのコンタクトに関し、コロナウィルス感染症流行の影響により、研究計画からの遅れがややあり、事業延長を再申請した。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果の取りまとめに向けて、成果の公表を行っていく。特に正当防衛については、平成29年判例以降の動向と傾向の分析を行い、複数回の連載を行う予定である。また、近時、社会的に許容される行為とそうでない行為を切り分ける必要があり注目を浴びている死体遺棄罪についても、その限界を探る成果を公表する予定である。そのほか、最終年度の取りまとめに向けて、論文の執筆を行っていく。
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