研究課題/領域番号 |
19K01358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
若林 宏輔 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (40707783)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 取調の可視化 / 自白の任意性 / カメラ・パースペクティブ・バイアス / 取調べ可視化 / 虚偽自白 / 任意性 / 任意性評価 / 原因帰属 |
研究開始時の研究の概要 |
日本では2019年6月に施行される改正刑事訴訟法において捜査取調べの全過程の録音・録画が義務化される。同取調べ映像は主として裁判で自白の「任意性」評価に用いられる。法心理学研究では、事実認定者が被疑者を中心に撮影した動画を見ると任意性を高く評価してしまう「カメラ・パースペク ティブ・バイアス(Camera Perspective Bias: CPB )」の存在を指摘してきた。本研究は日本の取調べ録音・録画映像形式(2画面式)におけるCPB効果について、視覚的顕在性の観点から映像サイズによる効果比較し、罪種、当事者個人の特性等の状況操作からCPB効果を系統的に検討するものである。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は刑事司法における「取調べ可視化」の実施に際し、この撮影方法(主に画角、画面構成)の差異により、本来の目的である被疑者自白の任意性評価が異なるとする心理学的効果(カメラ・パースペクティブ・バイアス:以下CPB)を日本の実施状況を踏まえて多角的に検討することであった。 とくに取調場面ではなく日常会話場面によるCPB効果を検討したが、一貫して任意性評価において従来指摘されてきた系統的なCPB効果は確認できなかった。ただし任意性評価を自発性・強制性に分けて評価させた場合に、強制性評価においてCPBが観察される可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、第一に取調べ可視化映像が争点となる事件において、被疑者自白の可視化映像の取り扱いより慎重な運用が必要であることを指摘するものである。従来、CPB効果では、被疑者のみを大写しで録画する方式は、別の撮影方式と比較して相対的に任意性評価が高まる可能性が指摘されてきた。本研究では同効果を系統的に観察することはできなかったものの、任意性評価の状況的要素(説示の有無、前科情報、強制性評価)が任意性評価に影響を与えることが確認された。また結果論ではあるが、本申請研究が録画された日常会話でCPB効果を検証したことは、コロナ禍を経てビデオ通話が主流となった社会に社会的・学術的意義がともにある。
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