研究課題/領域番号 |
19K01361
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
岩本 尚禧 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80613182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 遺言能力 / 意思能力 / 法律行為 / 遺言 / 認知症 / 記憶 / 意識清明期 / 認知的浮動 / Banks v Goodfellow / 神経科学 / 自由意思 / 遺言の撤回 / 一時回復 / 高齢者 / 民法973条 / 事理弁識能力 / 清明期 / 相続 |
研究開始時の研究の概要 |
日常的に不安定な言動を見せる認知症の高齢者が一時的に「正気」を取り戻している(ように見える)時期を清明期(lucid interval)と呼ぶ。清明期に作成された遺言の有効性を我々は経験的に肯定しがちであるが、これに対して異を唱える医学研究や外国裁判例が登場し始めている。本研究は「清明期」に関する医学研究を参照し、諸外国の裁判例も踏まえながら、現代における遺言能力の要件論を再検討するものである。
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研究成果の概要 |
遺言能力に対して認知症が及ぼす影響について研究した。その過程で、そももそ我が国の民法は認知症の影響を考慮せずに制定されたことが判明した。そこで、次にイギリス法を研究した。その結果、イギリスでも我が国と同様に、認知症と遺言能力の関係が争われていること、そこでは遺言者の記憶が論点となっていること、イギリスの裁判所は遺言者の記憶に疑わしい点があるとしても遺言能力を肯定する傾向にあることが判明した。 また、イギリス法研究の過程で、「認知症と記憶」につき医学研究の進展が見られることも判明した。遺言能力と認知症の問題に、これらの知見を援用できる可能性を提示したことも、本研究の成果の一つである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高齢化や遺言の普及により、「認知症と遺言」の問題が今後も増大することが予想される。そうした中、本研究は紛争の予防的解決に役立つことが期待される。そして、このことは、ひいては遺言を巡る家庭不和の回避にも貢献するであろう。認知症が遺言能力に及ぼす諸問題の解決は、法学と医学の学際的連携という観点のみならず、より良い社会の実現という観点からも意義を有する。
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