研究課題/領域番号 |
19K01372
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
増田 史子 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (60362547)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 船主責任制限 / 定期傭船契約 / アレスト条約 / 船舶先取特権 / 船舶の差押え / 運送契約 / 傭船契約 / アレスト / 定期傭船 / イングランド法 / 海事債権 / 対物訴訟 / 海上物品運送 / 海商法 |
研究開始時の研究の概要 |
船舶の運航に伴って生じる様々な債権の実現には,船舶を差し押さえて債務者である船舶所有者などに担保を提供させるという方法が,実際上はしばしばとられている。本研究は,このような船舶の差押え・仮差押えに関する日本法上の制度(その中でも特に,実務上よく利用される船舶先取特権制度)を,主要国の同様の機能を有する制度,すなわち,英米法系諸国における対物訴訟制度(船舶を相手方として開始することができる民事訴訟手続),大陸法系諸国における船舶の(仮)差押えに関する法制と比較し,機能面に着目して分析することで,日本の船舶先取特権制度,ひいては海事法制のあり方について,検討しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、文献の収集と検討を行うとともに、本研究課題に関係する論考を2件公表した。 文献調査に関しては、成果の取りまとめに向けて、イングランド法系諸国における船舶アレスト制度の変遷をやや遡って調査するとともに、最近公表された関係する研究等の検討を行った。 公表した論考は、(1)船主の責任を事故ごとに一定の金額に制限する船主責任制限制度に関するものと、(2)定期傭船者の対第三者責任に関するものである。(1)では、近時のわが国の裁判例を、近年の船主責任制限制度に関する議論の動向と、わが国では船主責任制限法により実施されている1967年の海事債権責任制限条約(およびその改正条約)に関する諸外国の判例を踏まえ、批判的に検討した。(2)では、近年の社会的にも注目を集めた座礁事故を素材として、定期傭船者の責任についての現在の法制と議論状況を整理し検討した。 英法系諸国の制度と比較した場合、わが国の船舶先取特権制度の特徴として、船主責任制度のもとで責任制限の対象となる債権には船舶先取特権が付与される結果、相当に広い範囲の債権が船舶先取特権によって担保されるという点、船主ではなく定期傭船者が債務者となっている債権も原則としては船舶先取特権の被担保債権となりうるという点を挙げることができる。本研究課題は、わが国の船舶先取特権制度とこれに関連する諸制度を、諸外国法と機能面に着目して比較、検討することを目的とするものであり、(1)(2)の論考は、機能的な比較を行うに際して考慮する必要がある事項を、整理、検討したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主に、2022年度と同様、本研究課題を遂行するための時間の確保に苦慮し、また、出張が困難な状況も続いていたためである。他方で、日本法に関する検討はある程度進めることができた。また、国際的な議論動向の確認、近時の外国判例の動向の確認などもすでに粗方終えており、最終年度に向けての準備はそれなりに進めることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
資料収集とその分析はある程度進めることができているので、2023度は、成果を着実に形にしたいと考えている。2023年度は、出張、移動に関する制限が大きく緩和される見通しなので、学会・研究会への出席等を通じた最新の実務動向、研究動向の把握にも改めて努めていきたいと考えている。
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