研究課題/領域番号 |
19K01378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
野澤 正充 立教大学, 法学部, 教授 (80237841)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 瑕疵担保責任 / 契約不適合責任 / 危険負担 / 不特定物の特定 / 危険の移転 / 債権法改正 / 特定物のドグマ / ウィーン売買条約 / 所有者責任主義 / 双務契約 / 有償契約 / 原始的不能 / 後発的不能 / 契約法の基本原則 / 引渡し / 不能 / 債務引受 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、民法が契約法のグローバル化に従って改正されたことを背景に、民法の基礎理論がどのように変容しているかを明らかにし、将来の民法のあるべき姿を探究するものである。例えば、わが国の債権法改正においては、ローマ法以来の法格言である①「何人も不能な債務に拘束されない」、および、②「物の滅失は所有者の責任に帰する」が否定された。その影響は大きく、危険負担や契約解除権等の法的構成にも影響を及ぼし、他国にない制度を設けている。そこで、これらの原則を大きな民法改正(2016年2月10日)の後も維持しているフランスと比較し、その当否も含めて、今後の民法の基礎理論のあるべき姿を明らかにする。
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研究成果の概要 |
危険負担に基づく瑕疵担保責任は、所有権の移転に伴い危険が移転する、という所有者責任主義に依拠していた。しかし、債権法改正によって、売買の目的が特定物であるか不特定物であるかを問わず、危険は目的物の引渡しによって売主から買主に移転すると規定された(567条1項)。なぜなら、危険は目的物を事実上支配し、それを回避することができる者が負担すべきだからである。しかし、これに対しては、特に不特定物の売買について、引渡しではなく目的の特定によって危険が移転する(401条2項)、とのドイツ法的理解が対立することを明らかにした。今後は、この矛盾点と共に、売買契約における双務性と有償性の異同が課題となる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、民法(債権法)改正により、不特定物の特定による危険の移転を規定した旧534条2項が削除され、引渡しによる危険の移転を規定した567条1項の創設により、特定(401条2項)によっては危険が売主から買主に移転せず、その移転は特定物・不特定物を問わずに、引渡しによって行われることを明確にした。そして、この研究によって、契約法のグローバル化の時代に相応しい、新しい民法典のあり方を示したものと考える。
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