本研究の目的は、民法が契約法のグローバル化に従って改正されたことを背景に、民法の基礎理論がどのように変容しているかを明らかにし、将来の民法のあるべき姿を探究するものである。例えば、わが国の債権法改正においては、ローマ法以来の法格言である①「何人も不能な債務に拘束されない」、および、②「物の滅失は所有者の責任に帰する」が否定された。その影響は大きく、危険負担や契約解除権等の法的構成にも影響を及ぼし、他国にない制度を設けている。そこで、これらの原則を大きな民法改正(2016年2月10日)の後も維持しているフランスと比較し、その当否も含めて、今後の民法の基礎理論のあるべき姿を明らかにする。
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