研究課題/領域番号 |
19K01387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
林 誠司 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20344525)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 民法 / 医事法 / 民事責任 / 死因説明義務 / 説明義務 / 診療記録 / 個人情報保護法 / 自殺防止義務 / 精神科 / 閲覧権 / 診療情報 / 保護法益 / 仮定的同意 / 自己決定権 / 医療過誤 / 不法行為 / 損害賠償 / 因果関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、医療過誤法において認められてきた説明義務違反、因果関係の証明軽減などの各種の責任法理が本来保護すべき法益は何か(生命・身体か人格権か、あるいはその他の法益か)、生命・身体や人格権(またはその他の法益)が保護法益とされるのはそれぞれいかなる場面かという視点から、各責任法理の保護法益の内実を明らかにすると共に、効果的な法益保護と医師責任の適切な限界設定を図ることを試みるものである。
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研究成果の概要 |
医師責任法における各種の責任法理がどのような相互関係にあるのかを、それぞれの責任法理の保護法益は何かという視点から検討して解明することに努めた。その結果、第一に、治療を受けるか否かを患者自身に決定させるための説明義務では、医師の過誤の態様に応じて保護法益が異なりうること、第二に、遺族に対する説明義務について、遺族の範囲を定める基準や方法の検討が不十分であること、第三に、療養方法等の指導により診療成果を確保するための説明義務について、保存的治療も説明対象となること等の知見を得たほか、司法の場で実践しうる責任法理の構築には、法学のみならず医療政策等隣接諸分野の知見も必要であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
不幸にして医療事故が生じた場面において、患者側に生じた損失を医師(病院)・患者間において適切に分配することは、医療側での過剰な責任負担による委縮医療等の問題を回避すると共に、患者側に生じた損失の放置による患者又はその遺族の窮状を救うことに資する。しかし、医療事故による民事責任(医師責任)に関する現在の司法において、いかなる場合にいかなる結果について医療側が責めを負うべきであるとされるのかは、必ずしも明らかではない。適切な損失分担を目指し、医師責任の分野での責任法理のあるべき姿を明らかにすることは、法理論上重要であるのみならず、実務上も医療事故の抑制と救済に役立つものである。
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