研究課題/領域番号 |
19K01395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村上 正子 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (10312787)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 子どもに優しい司法 / 子の利益 / 子どもの権利条約 / 子どもの意見聴取 / 子の引渡し執行 / 子の養育 / 協議離婚 / 子の意見表明権 / 養育計画 / 養育費履行確保 / 子の意見聴取 / 手続的公序 / 養育費 / 国際裁判管轄 / 外国判決の承認・執行 / 養育費確保 / 民事執行法改正 / ブリュッセル規則Ⅱa / 中央当局 / 国際家事紛争 / 司法行政 / 裁判所の裁量 / 裁判所の福祉的機能 / 家事債務の履行 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、国際家事紛争の適切かつ迅速な解決のための、司法の枠を超えた国内及び国外の諸機関との連携・協働、さらには行政機関との役割分担のための試行モデルを構築するという目的を達成するために、国内における現状を把握し、問題点を整理したうえで、諸外国の状況や国際条約、EU規則などの運用を参考にし、問題点を改善することを試みる。 具体的には、子の引渡しの実現や養育費の回収など、異なる職種間での連携や協同の工夫、行政機関の関与という選択肢が議論されているものの、克服すべき課題が山積されている問題について、司法と行政の役割分担のあり方、さらには国内外の関係機関との連携のあり方などを総合的に比較検討する。
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研究実績の概要 |
今年度はまず、昨年度中に行っていた比較法研究(子ども中心の審理のあり方について、EUにおけるchild friendly justice(子どもに優しい司法)に関する議論と、オーストラリアにおける家族法改正に関する議論を参照)の成果を、論文として公表した。 その際に得た示唆を元に、現在進行中の法制審議会における離婚後の子の養育のあり方についての議論を、手続法の観点から検証した。当初は子の引渡しの執行や身上監護権及び面会交流の取決めなど手続に関する提案もされていたが、中間試案では手続の問題はあまり扱われておらず、特に注目していた、子の意思・意見を反映させて執行手続を調整するという点に関する具体的な提案はなかった。その背景には、親子交流に関する調停・審判の実効性確保のために、強制力をもって調停又は審判の実現を図る方向での法改正をするのではなく、まずは、親子交流支援団体等による支援等により、調停又は審判によって定められた親子交流を安全・安心に行う環境を整備する方向で、法改正以外の選択肢も含めた方策を検討するなど、執行手続の見直しに限らず、幅広く様々な方策について検討することが想定されており、裁判所以外の行政機関との連携が不可欠であることが確認された。 それを踏まえて、かねてより行政機関との連携について注目していたベトナムにおける聞き取り調査を行った。ベトナムはそもそも、執行が司法省の管轄となっており、司法と行政の連携が前提となっているのに加えて、最近は子どもの権利条約に従い、Child Friendly Justiceの議論が盛んになっている。今回は特に、Depertment of Children AffiairsのDirectorから、ベトナムにおいて「子の利益」を実現するための試みについて、広報や裁判所との連携、子どもの意見の聴取の方法などを中心に知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
比較法の対象を当初は予定していなかったアジア(ベトナム)に広げたことで、ハーグ子奪取条約以外の国際条約における中央当局制度の分析が後回しになってしまったため、進捗状況はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は研究の最終年度にあたるが、進捗がやや遅れているため、一年延長を考えているが、研究の総括に向けて、これまで収集した資料を基に、国内の新たな動きも加味して具体的な提言をまとめていく予定である。特に、2023年4月に子ども基本法が施行され、子ども家庭庁も発足し、子どもの意見をより取り入れる体制(子どもの意見表明や参加のあり方)が整えられつつあることを踏まえて、それが今後子どもを巡る法的な紛争の裁判・裁判外手続にどのように関わってくるのか(関わるべきなのか)について、他の分野の専門家の意見も参考にしながら検討していく予定である。
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