研究課題/領域番号 |
19K01401
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
伊藤 栄寿 上智大学, 法学部, 教授 (30454317)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 準共有 / 可分債権 / 民法改正 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、共同相続が行われた場合、預貯金債権は、共同相続人に当然分割帰属するとされていた。しかし、近時、最高裁はこれを否定した。また、他のいくつかの場面でも、金銭債権などの可分債権の分割帰属が否定されている。 そこで、本研究は、従来の裁判例を分析し、その規律を整理・分析したうえで、可分債権が分割帰属しない場合に用いられるべき法理を明確にすることを試みる。具体的には、準共有法理とは何か、それがどのような場面で、どのようにして、複数債権者のいる可分債権に適用されるべきなのかを明確にすることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、複数の債権者が可分債権を有する場合に、当然に分割帰属しないとされる場面を検討することを目的とした。判例は、複数の債権者が可分債権を有する場合、原則として当然に分割帰属するとしてきた。しかし、その根拠は明確にされていない。また、判例は、共同相続における預貯金債権をはじめとして、いくつもの例外を認めている。それゆえ、複数債権者が可分債権を有する場合あっても、分割帰属しないことを原則とすべきである。複数の債権者が債権を準共有する場合には、民法の共有規定が準用されるべきである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、複数の債権者が可分債権を有する場合、原則として当然に分割帰属するという判例が、多くの例外を認めることによって原則ではなくなっていること、さらに、そもそも十分な理論的正当化根拠を有していなかったことを明らかにした。従来、例外についての検討はなされてきたものの、判例の原則そのものへの検討は十分ではなかったところであり、この点に大きな学術的意義がある。また、判例が採用する当然分割原則が放棄されることになれば、共同相続の場面において、共同相続人間の不公平な取り扱いが是正されることになり、社会的意義も大きい。
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