研究課題/領域番号 |
19K01403
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
菅 富美枝 法政大学, 経済学部, 教授 (50386380)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 状況的脆弱性 / 脆弱性の普遍化 / つけ込み / 自主基準・規律 / 意思決定支援 / 情報提供義務の実質化・個別化 / 脆弱性の制御・解消 / 規格・標準化 / 消費者脆弱性 / つけこみ行為 / undue influence / 非良心的取引 / デジタル脆弱性 / 国際規格ISO / ISO22458 / 包摂 / Consumer vulnerability / 脆弱な消費者 / inclusive service / 合理的配慮 / 不公正な契約条項 / 不当な影響力の行使 / 国際標準化機構(ISO) / 金融包摂 / 市場改革 / 契約リスク / 交渉力の濫用 / SDGs(持続可能な開発目標) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、昨今、EU法などにおいて国際的な認知度を高めている「消費者脆弱性」の概念に着目し、判断能力の低下した消費者をアクティヴな法主体として市場社会に(再)包摂することを目指し、契約法を中心とした法・社会制度の再検討を行うものである。 全ての消費者には多様性があることを前提とした上で、市場で起こりうる消費者脆弱性の諸要因(「リスク・ファクター」)に目を向け、それらの発生を法によって予め制御するという発想への転換を基軸に据えている。 本研究を通して、脆弱性の有無にかかわらず、全ての成年者が契約締結可能となる契約制度の設計を目指す。以て、国内・外における市場・取引のあり方に変革をもたらす。
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研究成果の概要 |
本研究では、①脆弱性の制御・解消に向けた契約法理論の精緻化を図ると共に、②国内外における消費者相談や執行の現場での聞き取り調査を通して、消費者の脆弱性が濫用された事例、解消された事例の収集に努めた。その上で、そもそも脆弱性を生み出さない市場のあり方として、ISO22458策定のための国内委員会に委員として参加してきた知見を活かして、③商品・サービスの「規格・標準化」の問題に取り組んできた。以て、従来の情報提供義務が想定する「平均的な」提供を超える、消費者の意思決定支援を目指した情報提供の「実質化・個別化」と、それを下支えする業界団体内部における自主基準の策定に、契約法学の観点から挑んできた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
消費社会における脆弱性とは、消費者自身の内的属性のみから生じるものではなく、消費者が有する身体的・精神的特徴と市場の条件その他の外部環境との相互作用によって生じるとする「状況的脆弱性」概念に注目することによって、従来からの「脆弱な消費者」をめぐる議論の方向性を大きく転換させた(保護から意思決定支援へ)。 そして、全ての消費者には多様性があることを前提とした上で、市場で消費者脆弱性を引き起こしうる諸要因(「リスクファクター」)に目を向け、法や自主規律を用いてそれらの発生を予め制御しておくという発想を提唱した。以て、判断能力の低下した消費者をアクティヴな法主体として市場に包摂することに貢献した。
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