研究課題/領域番号 |
19K01419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
稲葉 実香 金沢大学, 法学系, 准教授 (00402941)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 生命倫理 / 生殖補助医療 / リプロダクティヴ・ライツ / 安楽死 / 親子関係 / 人工妊娠中絶 / フランス生命倫理 / 法制化プロセス / 終末期医療 |
研究開始時の研究の概要 |
フランスにおける生命倫理関係法制の立法過程について研究する。 第一に、生命倫理法の前回改正、および現在進行中の改正については、生命倫理国民会議および国家倫理諮問委員会(CCNE)の立法へのかかわり方を中心に検討し、日本での立法過程への示唆とする。 第二に、フランスで起きた安楽死・尊厳死をめぐる事件と世論が、逐次の終末期医療立法へどのような影響を与えたかを検討する。 第三に、欧州人権裁判所や欧州議会など、欧州機関におけるこの分野にかんする決定や判決が、フランス国内にどのような影響を与えたかを検討する。
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研究実績の概要 |
2022年度は可能であれば9月にフランス調査に行きたいと思っていたが、コロナ禍と学務の関係でそれが叶わなかったため、引き続き日本の生命倫理をめぐる問題を中心に、国内でできる研究を行った。 2020年に成立した生殖補助医療法につき、その制定経緯を調査し、これまでの生殖補助医療の立法化の動きとあわせ、「日本の生殖補助医療法の立法過程――専門家の軽視と国民的議論の不在」を執筆し、金沢法学66巻1号に掲載予定である。なおこの内容は、2023年2月に東京で開催された第14回日仏公法セミナー(XIVeme Seminaire Franco-Japonais de Droit Public)において、"La legislation sur l’assistance medicale de procreation au Japon - Negligence des avis des experts et absence de debat public"と題して報告を行った。さらに、このセミナーにおいてはフランスの生命倫理分野におけるConventionの役割に大いに示唆を受けた。 2021年度に医事法学会で報告した安楽死の問題につき、各国法制の医師の良心条項について加筆した上で、2022年9月発行の年報医事法学37号に「安楽死要件を再考する――比較法の観点から」として掲載された。 さらに、旧優生保護法下での強制不妊手術をめぐる一連の判例について研究を進めており、近く論文にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍、および学内事情(法科大学院認証評価)により渡仏の時間が捻出できなかったことで、本来の課題であるフランスの生命倫理立法の調査・研究については大幅な遅れが出ている。フランスの生命倫理法制における生命倫理国民会議(Etat generaux de la bioethique)や市民会議(Convention)の役割については、生命倫理諮問委員会(CCNE)での情報収集やインタビューが不可欠であり、本来の研究計画が進められていない。 その代わり、計画段階では予想しなかった日本の生命倫理立法が実現し、判例でもリプロダクティヴ・ライツが承認されるようになり、こちらをメインに研究することで、最新の状況を把握してフランスとの比較対象の基礎を固めることができ、本課題を含む大きな研究計画としては、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はフランス調査が実施できる見込みであるので、フランスの研究者との意見交換、CCNEでのインタビュー、文献収集を行い、本来の研究課題を進める予定である。ただし、調査の時期にもよるが、今年度中に論文完成まで進めることは非常に難しいので、課題の継続も考えている。 これと並行して、日本での生命倫理分野の法制化や判例の動きについての研究も進め、論文を発表する予定である。
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