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予防原則と〈「純粋に仮定的なリスク」の排除〉―アメリカ環境法からのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 19K01421
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05070:新領域法学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

赤渕 芳宏  名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60452851)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
研究課題ステータス 完了 (2021年度)
配分額 *注記
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード予防原則 / 純粋に仮定的なリスク / 憶測 / 絶滅の危機にある種に関する法律 / リスク管理 / アメリカ環境法 / 科学的不確実性 / 環境法 / アメリカ法
研究開始時の研究の概要

〈環境法の基本原則〉のひとつである予防原則は、科学的不確実性を伴うリスクの法的規律を許容する考え方である。同原則をめぐっては、その下にあっても「純粋に仮定的なリスク」は規律対象から除かれると説かれるが、この点の理論的解明は現段階では十分とはいいがたい。
本研究は、アメリカ環境法においてみられる、科学的不確実性を伴うリスクの管理を目的とした行政決定の根拠からの〈「憶測」の排除〉という考え方に着目する。関連する裁判例と学説との整理・分析を通じて、そこでいわれる「憶測」とは何か、また「憶測」の排除はいかなる根拠に基づきなされるかなどを明らかにし、予防原則をめぐる上記の問いに接近する糸口を得る。

研究成果の概要

環境法の基本原則の1つである予防原則は、科学的不確実性を伴うリスクを法的に規律することを許容/要求する考えである。だがこれは、「純粋に仮定的なリスク」ないし「憶測」に基づくリスクまでをも法的規律の対象とするものではない。では、予防原則の適用が認められない「憶測」に基づくリスクとは何か。アメリカ環境法の裁判例の分析によれば、これには(1)根拠となる科学的な知見が全く存在しないリスクと、(2)リスク管理措置を根拠づける科学的根拠または法規範の解釈によってそのように判断されるリスクとがあると解される。ここでは、連邦行政手続法の専断的・恣意的基準に基づき「憶測」に基づいた行政決定が違法とされている。

研究成果の学術的意義や社会的意義

予防原則は、科学的にまだ解明されていない(より早期の)段階において、人の健康リスクや生態リスクを管理することを許容ないし要求する考えであり、わが国では、環境基本計画や生物多様性基本法などにおいて採用される、環境政策上の重要な原則の1つに位置づけられる。だが、それがいかなる場合には適用されるべきでないのかについては、従来の議論では十分に明らかにされておらず、このことが同原則に対する過度の警戒を招いているものと思われる。本研究は、アメリカ環境法を参照して、予防原則が適用されるべきではない場合とはいかなる状況をいうのかにつき検討するにあたっての出発点を提供する点で、環境法・環境政策上の意義を有する。

報告書

(4件)
  • 2021 実績報告書   研究成果報告書 ( PDF )
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 予防原則とリスク評価――若干の試論をかねて2020

    • 著者名/発表者名
      赤渕 芳宏
    • 雑誌名

      バイオインダストリー

      巻: 37(9) ページ: 69-79

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 世界環境憲章と予防原則――「科学的不確実性」要件に関するアメリカ法からの示唆2022

    • 著者名/発表者名
      赤渕芳宏
    • 学会等名
      シンポジウム「世界環境憲章と環境法の基本原則――国際的動向とわが国における意義」
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 環境法学からみた化審法の評価と今後の方向性2021

    • 著者名/発表者名
      赤渕芳宏
    • 学会等名
      日本環境毒性学会令和3年度研究発表会シンポジウム
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 予防原則における「科学的不確実性」要件と「憶測」――アメリカ種の保存法に関する裁判例の検討を通じて2021

    • 著者名/発表者名
      赤渕芳宏
    • 学会等名
      環境科学会2021年会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 世界環境憲章案と予防原則――適用要件としての「科学的不確実性」に焦点を当てて2020

    • 著者名/発表者名
      赤渕 芳宏
    • 学会等名
      環境経済・政策学会2020年大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 環境リスク管理に係る行政決定の科学的根拠と「憶測」――アメリカ種の保存法をめぐる裁判例の分析2019

    • 著者名/発表者名
      赤渕芳宏
    • 学会等名
      日本リスク学会第32回年次大会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 化学物質リスク管理における科学的知見の不確実性と予防的アプローチの適用方法に関する考察2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木規之, 大塚直, 赤渕芳宏, 小島恵, 高橋一彰, 新田晃, 東利博, 柳田貴広, 井上知也, 和田宇生, 木村元, 佐々木佑真, 今泉圭隆, 小澤ふじ子, 大野浩一, 小池英子, 小山陽介, 珠坪一晃, 高見昭憲, 中島大介, 松橋啓介, 山崎新, 山本裕史, 横溝裕行, 中島孝幸
    • 学会等名
      日本リスク学会第32回年次大会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] リスク評価・法・予防原則2019

    • 著者名/発表者名
      赤渕芳宏
    • 学会等名
      2019年度科学技術未来戦略ワークショップ「社会および産業競争力を支える基盤としての環境リスク評価研究」
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 鶴田順・島村健・久保はるか・清家裕(編)『環境問題と法』2022

    • 著者名/発表者名
      赤渕芳宏
    • 出版者
      法律文化社
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [図書] 『判例アメリカ環境法入門』2022

    • 著者名/発表者名
      赤渕芳宏・小林寛・小島恵・飯泉明子
    • 出版者
      勁草書房
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2023-01-30  

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