研究課題/領域番号 |
19K01428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
佐藤 恵太 中央大学, 法務研究科, 教授 (60205911)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 美術の著作物 / 書道 / 版画 / 実演家の権利 / 著作権 / 展示 / デジタルアート / 著作物 / アート / 著作権法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、美術作品の著作権を、IT技術進展に対応した法制とするための問題点の洗い出しから必要な立法案作成までを視野にいれる総合的な研究である。併せて条約化が見込まれる追及権(美術作品の第2譲渡以降の取引に課金する)を日本に導入する際の問題点であるオークションモデルのIT化を検討する。具体的には、①デジタルアートを中心とする美術作品を中心とした問題点の洗い出し、②IT技術に対応する美術の著作物にかかる著作権法制並びに裁判例の外国法・日本法文献調査、③追及権を中心とした立法経緯の調査とその後の活用状況の調査、④必要な立法案の作成を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は、「実演家の権利」のデジタル対応(モーションキャプチャデータの取り扱いなど)と、書道作品の著作権に重点を置き、研究を進めた。 1)実演家の権利については、従前検討対象としてこなかったが、国際著作権法学会のシンポジウムにおいて佐藤がパネルディスカッションを企画する機会を得たので、モーションキャプチャデータの保護適格を中心問題として意識しつつ、実演に何を含むかという点の分析を行った。実演家の権利の対象である実演は、著作権法上、著作物を演ずることだけでなく、これに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む、と規定されていて(著作権法2条1項3号)、芸能的性質にモーションキャプチャデータを得るためのアスリート等の動きのデータは含まれるのかを話題とした。モーションキャプチャデータは、すでに取引対象とされている現実を考えると、佐藤は積極に解する立場だが、学会では種々の反対があり、論点を煮詰めることができた。成果は、国際著作権法研究誌に掲載した。 2)書道作品については、昨年の版画に引き続き、従来は詳細を論じられてこなかった美術作品のカテゴリーごとの著作物性認定方法に光をあて、詳細を分析した。「臨書」と呼ばれる先人の書を書き写す作業が書道ではひろくおこなわれており、臨書によって描かれた作品の展示会も多くおこなわれているが、模倣による作品なので、著作物性を否定すべきであると論じた。結果、描かれた毛筆文字をキャプションして、デジタル化することが自由に行われるケースが増える解釈論を提示できたと思っている。成果は、IPIRA(国際学会であるアジア知財法研究者ネットワーク)における個別報告、およびALAIJapan研究会における共同報告である。 3)なお、デジタルアートについては、引き続き分析を進めているが、パネルディスカッションを組むまでに素材を集めるに至っていない。、
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AIに関する技術進展と世論の盛り上がりがあまりに急速で、パネルディスカッションの素材を集めるのに困難を生じたため。特に2024年6月をめどにEUがAIに関する新法制(著作権の扱いを含む)を決定するという報道があったので、それを素材に含めたいと考え、今期は素材収集を優先することとした。
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今後の研究の推進方策 |
デジタルアートを中心に、素材収集をさらに集中して進めていく。
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