研究課題/領域番号 |
19K01435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
黒坂 則子 同志社大学, 法学部, 教授 (60441193)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 土壌汚染 / 土地所有者の責任 / 土地利用規制 / 再生可能エネルギー / 太陽光発電設備 / 墓地、埋葬等に関する法律 / 土砂条例 / 環境法 / まちづくり |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、環境問題のなかでも、不動産をめぐる環境問題について、土地所有者が負うべき責任と地方自治体の土地利用規制権限のあり方、その地方自治体と国との役割分担を検討するものである。具体的には、土壌汚染問題や地方自治体の土地利用規制権限について、日米を比較検討し、また、わが国の土砂条例やごみ屋敷条例といった独自の条例を自治体ごとに比較検討することで、より環境にやさしいまちづくりのあり方を探究していきたい。
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研究実績の概要 |
本研究は、環境問題のなかでも、不動産をめぐる環境問題について、土地所有者が負うべき責任や地方自治体の土地利用規制権限のあり方、そして地方自治体と国との役割分担などを中心に検討するものである。 本年度の大きな研究成果としては、アメリカについては、一昨年と昨年に収集した文献を用いつつ、2020年4月20日の土壌汚染に関するアメリカの連邦最高裁判決(Atlantic Richfield Co.v. Christian)を題材に、同判決における土地所有者責任、具体的にはスーパーファンド法上の潜在的責任当事者該当性を検討し、同判決がアメリカの土壌汚染浄化政策に与える影響について考察し、これを公表した。なお、正木宏長ほか編の翻訳本『現代アメリカ環境法』(尚学社、2022年)が出版され、私はアメリカの土壌汚染に関する法律(スーパーファンド法)の翻訳を担当した。 わが国の研究成果としては、判例研究をすすめた。具体的には、太陽光発電設備の設置問題に関し、伊東市の河川占用不許可処分に対し、太陽光発電エネルギーによる発電事業等を目的とする合同会社が提起した河川占用不許可処分の取消訴訟につき、検討を加え、これを環境法研究にて公表した。。同判決は、第1審判決が河川占用不許可処分における伊東市長の裁量権の逸脱又は濫用を認め、河川占用不許可処分を取り消したのに対し、同処分における市長の裁量権を広く認め、逸脱又は濫用を認めなかったものであり、興味深いものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度(もともとは初年度に渡米予定であったが、コロナ禍の影響等で延期になっていた)においては、アメリカにヒアリング調査に行く予定としており、昨年収集した文献に加え、アメリカでのヒアリング調査を行ったうえで研究を深化させ、その成果を公表する予定であったが、コロナ禍の影響でヒアリング先との日程調整があわず、渡米が難しくなったため、これまで収集した資料をもとに、アメリカの土壌汚染問題について研究をすすめることとした。この点、2020年4月20日に出された連邦最高裁判決に関し、新しい判例評釈が複数存在したため、これらを主として用いて、アメリカの土壌汚染問題に関し論文を執筆することができた。また、不動産をめぐる環境問題につき、わが国の判例についても判例評釈を公表した。従って、研究自体はおおむね順調に進展しているといえる。 もっとも、コロナ禍でなかなか渡米できない状態であったことから、研究を1年延長し、最終年度ではあるが、渡米してヒアリング調査なども実施し、これまで集めた資料をもとに、日米の土地利用規制のあり方を検討していきたい。このようにヒアリング調査に関して遅れが生じていることから、やや遅れていると自己評価したが、一定の研究成果は出すことができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度こそ、延期となっていた渡米ヒアリング調査を実施し、不動産をめぐる環境問題に関する調査を行う予定である。Jeffrey Lubbers教授(American University)の内諾を得ているため、これを優先的に行う。今年度にアメリカの土壌汚染問題を公表したので、次年度は、より広い土地利用規制のあり方について研究していきたい。また、わが国についても不動産をめぐる環境問題に関する判例等について、次年度も引き続き検討したいと考えている。
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