研究課題/領域番号 |
19K01453
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
藤嶋 亮 國學院大學, 法学部, 教授 (70554583)
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研究分担者 |
武藤 祥 関西学院大学, 法学部, 教授 (40508363)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 第一次世界大戦 / 政治変動 / バルカン / イベリア / 権威主義体制 / ファシズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、従来あまり注目されてこなかったヨーロッパの「周辺」(ルーマニア・ブルガリアを中心とするバルカンおよびイベリア半島)において、第一次世界大戦が各国の国内政治にいかなるインパクトをもたらしたのかを、比較政治史の視座から明らかにしようとするものである。すなわち、第一次世界大戦に至る時期の両地域の政治的・社会経済的発展の類似性を見定めた上で、大戦が与えた政治的・社会経済的影響を探り、戦後異なる状況に置かれていたにもかかわらず、両地域で並行的に権威主義的潮流が形成されていった背景の解明を試みる。
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研究実績の概要 |
本年度、まず研究分担者は、戦間期のイベリア半島の独裁・権威主義体制に関する学会報告を国内外で行った。特に2023年9月にはスペイン現代史学会で報告し、現地の歴史学研究者から有益なフィードバックを得た。また、2024年3月にはマドリードとリスボンで史料調査を行い、特にスペインのプリモ・デ・リベーラ独裁(1923-30年)に関する史料を重点的に渉猟するとともに、研究動向についてアップデートを行うことができた。 他方で、研究代表者は、諸般の事情により新型コロナ感染症に細心の注意を払う必要があったため、ルーマニア・ブルガリアでの現地調査の実施を見合わせた。したがって、今年度は収集した一次史料の整理・分析と二次文献の収集・アップデート、戦間期権威主義体制にかかわる「ファシズム化」概念の有効性の検証を軸に分析枠組の精緻化を進めた。その作業の一部として、戦間期における民主政の崩壊を包括的に扱った重要な研究書に関する書評を執筆した。 なお、本年度も代表者と分担者は、対面及びオンライン上での複数回の研究打ち合わせを実施し、研究状況の確認や分析枠組みの精緻化、研究の発展の方向性などについて精力的な検討を行った。さらに、並行して進めている他の科研研究会の機会などにおける、他地域の政治史研究者や理論的視座からの貴重なフィードバック・意見交換を通じて、本研究計画の射程をバルカン半島・イベリア半島を超えて応用できるとの展望を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は、2022年度に日本比較政治学会で報告した論文の加筆修正を行い、分析枠組みの精緻化やルーマニア政治史に関する一次史料を用いての実証面での補強などの作業を進めたが、多年度にまたがる新型コロナウイルス感染症流行の影響などにより資料収集が想定より遅滞していたため、その成果の公刊は2024年度に持ち越されることとなった。分担者は、スペインでの学会報告や日本政治学会での報告などを通じ分析枠組みの精緻化についての貴重なフィードバックを得て、学会報告論文の公刊準備を進めるとともに、スペインおよびポルトガルにおいて一次史料の収集を行い、それを用いたスペイン政治史の実証研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、研究代表者がルーマニアとブルガリア、分担者がスペインとポルトガルにおいて、史料調査を実施し、事例分析の密度と精度を高め、記述を厚くするために、とりわけこれまでの調査で相対的に手薄であった領域の史料を重点的に収集したい。さらに研究計画の最終年度ということもあり、現地での研究動向のアップデートと二次文献の補強も精力的に行いたい。そして、以上の調査結果と、先行して進めてきた理論的検討や他地域との比較の視座を接合させて研究成果の最終的取りまとめを行うが、まずは代表者・分担者ともに、2022年6月の比較政治学会研究大会における報告論文を加筆修正した上で、早い時期における公刊を目指したい。
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