研究課題/領域番号 |
19K01459
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
植村 和秀 京都産業大学, 法学部, 教授 (10247778)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 國體の本義 / 文部省 / 教学刷新評議会 / 国内思想戦 / 政策志向性 / 知識人 / 読書人 / 原理日本社 / 京都学派 / 昭和維新運動 / 内務省 |
研究開始時の研究の概要 |
文部省は、1936年度末に『國體の本義』を刊行した。政治思想史的には、これは日本の超国家主義化の代表例とされている。日本の國體を賞揚し、日本国家の素晴らしさを説く小冊子が、全国の教育現場などに大量に行き渡っていったからである。しかし、文部省の政策として見れば、そこには内務省や昭和維新運動に対する戦略的な布石としての意図が見受けられる。 「文部省は、省内人事を支配してきた内務省からの独立を目指し、また、教育現場への左翼・陸軍・昭和維新運動の影響力排除を目指し、『國體の本義』刊行によって、國體論を主導して官庁としての立場を強化しようと図ったのではないか」という仮説を、本研究は検証するものである。
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研究成果の概要 |
文部省は、1937年に編纂し刊行した『國體の本義』において、1936年の教学刷新評議会答申に応じて拝外主義と排外主義の両方の思想傾向を批判している。また、当時の文部官僚は、『國體の本義』刊行による國體明徴でマルクス主義に対抗するのみならず国家主義に対しても再検討を求めたと主張する。文部省のきわめて意欲的な姿勢は、『「國體の本義」解説』とせず断定口調の表題で刊行を強行することにも現れており、これは、内務省や昭和維新運動のような競争相手に対抗して、文部省が國體解釈の主導権を獲得せんとする意欲を示したと推測しうるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
文部省刊行の『國體の本義』は、昭和戦前期の政治思想史上の重要な出版物として意味を持つものであると同時に、官庁の事業として政策的意義を持ち、当時の政治過程における独特の文脈的意義を持つものである。本研究は、その政策的・文脈的意義の解明に取り組むとともに、思想内容の曖昧さにも注目し、昭和10年代日本の國體論を政治思想と政治過程の両面から把握しようとする所に学術的意義を有する。この昭和10年代は、国家主義的な思想の流行と政治権力の強大化とが同時に進行した時期でもある。本研究の社会的意義は、この時期の日本への理解を深めることに、ささやかながらも貢献しうる所にある。
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