研究課題/領域番号 |
19K01465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
白川 俊介 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (50737690)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | グローバル正義 / 移民正義論 / コスモポリタニズム / リベラル・ナショナリズム / 自決 / リベラリズム / 国境管理 / 世代間正義 / 感情 / ナショナリズム / 領土の政治理論 / 人の移動 / 頭脳流出 / 中立性 / 留まる権利 / 留まる義務 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、リベラル・ナショナリズムの知見からすれば、いかなる「移住のグローバル正義論」が導き出されるのかを詳らかにしようとするものである。そのために、まず予備的考察として、「ケアの倫理」の知見を補助線にして、リベラル・ナショナリズム論自体を批判的陶冶し、グローバルな正義の分析に耐えうるように議論を昇華させ、そのうえで、「移住」に関するいくつかの哲学的検討課題に応じることを通して、リベラル・ナショナリズム論の知見に基づく「移住のグローバル正義論」を構築する。
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研究実績の概要 |
今年度は、ひきつづき、境界線にかかわる問題についての規範的な研究に従事した。ひとつには、移民正義論について、(ネイションの)自決という観点から先行研究を整理し、国境規制論についての批判的な検討を行った。国境規制論は、自決を根拠にネイションないし当該国民国家が移民を排除するある程度の権利を有するという。それに対して、国境解放論は一般に、排除される人の人権やそうした手続きの(民主的)正当性という観点から批判を行ってきた。それは妥当ではあるが、そもそも自決を根拠にして国境規制論を論じることがどこまで妥当なのかはさほど言及されてこなかった。そこで、いわゆる国境規制論者が自決を根拠にして論じる国境規制論は道徳的正当化には、「外的な正当化」が欠けているという点で不十分だと指摘して、外的な正当性を担保するなんらかの制度枠組みの必要性について指摘した。 いまひとつは領土的一体性と自衛についてである。領土的一体性を保全するために行う自衛戦争の正当化論について、特にセシル・ファーブルのコスモポリタニズム的な戦争論に対する批判的な検討を手掛かりに論じた。ファーブルの議論は、人道的介入などの道徳的な正当化論を提供できる点では意義深いように思われるが、こと領土にまつわる自衛戦争については、なぜこの領土を防衛すべきなのかといういわゆる「個別性の要請」に答えにくいという点でいささか心許ない。したがって、自衛戦争の倫理も、いわゆる領土権の正当化論とセットで論じられる必要があり、そうすると、その正当化についても、内的な正当化のみならず外的な正当化が求められる点を指摘した。 研究期間全体を通して、グローバルな正義論におけるナショナリスト的な視座のもたらす含意と限界について、移民正義論をに関するものを中心に、いくつかのまとまった論考を揃えることができ、そのうちのいくつかの知見を著書としてまとめることができた。
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