研究課題/領域番号 |
19K01475
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
施 光恒 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (70372753)
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研究分担者 |
柴山 桂太 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (30335161)
佐藤 慶治 精華女子短期大学, その他部局等, 講師 (10811565)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | グローバル化と国際化 / ポスト・グローバリズム / 新自由主義批判 / リベラル・ナショナリズム / ナショナリズム / ポパー / 批判的合理主義 / ポスト・グローバル化 / 翻訳 / 大衆文化 / 近代 / 伝統論 / ナショナリズム論 / 翻訳論 / 人権と文化 / 人権教育 / ポストグローバル化 / グローバル化批判 / リベラリズム / 伝統 / 明治の国づくり / 音楽教育 / 政治理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、広義の「翻訳」(異なる文化圏で生まれた様々な思想、制度などを自分たちの文化圏に適合するように受け入れ、自文化を豊かにする行為)の意義に着目し、そこから現行の新自由主義に基づくグローバル化とは異なる、より公正な「ポスト・グローバル化」の世界秩序を構想する。前半では、現行のグローバル化の世界秩序構想の諸前提を明らかにし、それを批判する。特に、その根底にある、文化から切り離された、自己完結的実体としての人間観に疑念を呈する。そして代替的人間像として文化的存在としての人間観を提示する。また、その人間観に基づいたポスト・グローバル化の世界秩序構想の鍵となる概念としての「翻訳」の意義を探究する。
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研究実績の概要 |
今年度(2024年度)は、9月に立教大学教授でNPO難民を助ける会会長の長有紀枝先生をお招きして「国際援助を考える――異文化の声に耳を澄まして――」という講演会およびワークショップを行った。このなかで、国際援助における現地の声の翻訳(活用)、ならびに現地の文化を活かした国作りへの展望を考えた。 12月には、「グローバル化」と「国際化」という二つの概念をめぐる比較的大規模な社会調査を調査会社に委託するかたちで行った。ここで「グローバル化」とは「国境の垣根をできる限り引き下げ、ルールや制度、文化、慣習などを共通化し、ヒト、モノ、カネ、サービスの流れを活発化させる現象、およびそうすべきだという考え方」と規定できる。他方、国際化とは、「国境や国籍は維持したままで、各国の伝統や文化、制度を尊重し、互いの相違を認めつつ、積極的に交流していく現象、およびそうすべきだという考え方」だということができる。 この調査では、現在の多くの日本人は「グローバル化」よりも「国際化」を望んでいるのではないかという仮説の下、質問紙調査を行い、その結果を分析した。仮説は、概ね支持された。 本研究全体としては、理想的世界とは、グローバル化の果てにある「一つの世界」(グローバル・ガバナンス、グローバル市場)ではなく、「多数の国々からなる多元的世界」であると考え、後者の可能性を「翻訳」という概念を通じて問うてきた。「翻訳」という行為によって、各国の多数の普通の人々が自己の能力を磨き、発揮しやすいアクセスしやすい多様性に富んだ社会空間が醸成される。この社会空間こそが、いわゆる近代のプロジェクトが望んできたものである。ポストグローバル化の世界も、「翻訳」に着目しつつ、今後の世界秩序のあり方を模索していく必要がある。このことを本研究では一定程度、明らかにできたと考える。今後の研究につなげて行きたい。
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