研究課題/領域番号 |
19K01478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
伊藤 恭彦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (30223192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 租税 / 課税 / 租税正義 / 社会正義 / 分配的正義 / 租税法律主義 / 課税ベース / 所有権 / 正義 / タックス・ジャスティス / 所得税 / 課税の公正 / 私的所有 / 資産課税 / 相続税 / 累進課税 / ヘンリー・サイモンズ / ジョン・ロールズ / 世代間公正 |
研究開始時の研究の概要 |
課税は公正でなくてはならないと誰もが考えている。しかし、何に課税するのが公正なのか、どのような税率が公正なのか、さらには控除はなぜ必要なのかなどに関して論争が続いている。このように論争に決着がつかない理由は、納税者の利害が多様であるだけでなく、納税者の世界観も多様だからである。この研究では世界観(理想とする社会)との関係で課税の公正基準を明らかにする。課税ベース、税率、控除といった代表的な租税論上の論点を政治哲学の観点から再検討し、あわせて世代間公正論を使って近未来の公正な税制についても理論的に解明していく。
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研究成果の概要 |
本研究では社会正義の観点から課税の意義と公正な課税原理とを探求した。その結果、課税とは単に政府が必要な経費を国民の財産権を侵食して獲得する行為ではなく、社会が信奉する社会正義(分配的正義)に従って財産の分配を矯正する行為でもあることを明らかにした。さらに課税ベースとして何を選択するのかという問題も、単に経済効率性や実務上の容易さだけではなく、社会正義と密接に関わっており、特定の社会正義の構想や社会が信奉する正義観に深く関連していることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、社会正義(分配的正義)論から租税体系を評価し、さらにその成果を課税の評価へと架橋した点にある。規範手研究と租税研究は、ようやく個々の租税を正義論から評価するところまで到達しているが、本研究はここの課税局面にまで正義論の射程を広げる道筋を示した。租税は市民にとってあまりに日常的なことがらであり、嫌悪はしてもそれを冷静に考えることは少ない。本研究の成果は公正な租税や公平な課税を市民一人一人が考える視点を提供することにつながる点で社会的意義がある。
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