• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

世紀転換期チェコ政治とオーストリア政治における変容と政治指導者―カイツルを例に

研究課題

研究課題/領域番号 19K01482
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分06010:政治学関連
研究機関大東文化大学

研究代表者

中根 一貴  大東文化大学, 法学部, 教授 (10600645)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワードヨゼフ・カイツル / 政治史 / チェコ / 政党政治 / ハプスブルク君主国 / 青年チェコ党
研究開始時の研究の概要

19世紀から20世紀への世紀転換期のハプスブルク君主国統治下のチェコ人居住区域では、名望家政党政治から大衆政党政治への移行が生じていた。同時にハプスブルク君主国の非ハンガリー部分であるオーストリア政治では、複数のナショナルな政治空間の集合体への変容(「国民化」)が生じていた。これらの変容の渦中にいた1人が、オーストリアの財務大臣経験者であったヨゼフ・カイツル(Josef Kaizl)であった。青年チェコ党とチェコ政治を代表する政治家であると同時に、オーストリア政治でも重要な役割を果たしたカイツルの政治指導や政治理念などの分析を通じて、これらの変容を解明するのが本研究である。

研究実績の概要

2023年度では、カイツルの政治指導と同時代の政治についての考えを明確にするために、仲違いすることになる彼の盟友であった後の初代チェコスロヴァキア大統領のマサリクとカイツルの論争を分析した。「チェコの問題」論争と呼ばれるこの論争は、当時のチェコ政治で一定の関心を集めるだけでなく、現在においても研究者の関心を集めているものである。この論争の分析により、自身が積極的に関与した青年チェコ党の穏健化を積極的に評価するだけでなく、カイツルは当時のチェコ人の政治家や知識人の間では珍しくリベラリズムを強く肯定していることが明らかにされた。また、カイツルのリベラリズムに関する理解は古典的なリベラリズムからあまり外れないことも確認された。19世紀後半の社会・経済的な変容にともなう国家の役割の変化を肯定的に評価しつつも、カイツルは「小さな政府」を主張していたのである。
さらに、本研究課題の研究対象である政治変容と20世紀初頭の政党政治との関係をいっそう明確にすることを目的として、同時期のチェコ人政党政治に関する考察をまとめた概略を発表した。また、本年度もプラハにおける資料収集を実施した。
以上の成果を踏まえると、カイツルの政治指導は、ナショナリズムよりむしろリベラリズムを重視していた点から検討したほうがより明確になると考えられる。(他の大部分のチェコ人政治家と異なり)彼にとって、青年チェコ党は、チェコ人の政党であるとともに、オーストリアの責任ある政党であるべきであったのである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルスの流行による渡航制限による資料収集の遅れが取り戻せていない。その煽りを受けて、研究成果の発表も遅れてしまっている。

今後の研究の推進方策

航空券の価格高騰、現地での物価上昇と円安を踏まえて、今年度は最低限の資料収集にとどめる。そのうえで研究成果の公表に力を入れていく。さしあたり、研究成果の紀要での発表を検討している。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] チェコ人のための政治の理想と現実――19世紀末から20世紀初頭のチェコ政党政治2024

    • 著者名/発表者名
      中根一貴
    • 雑誌名

      薩摩秀登・阿部賢一編『チェコを知るための60章』明石書店

      巻: - ページ: 74-77

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 【新刊紹介】柴宣弘著『ユーゴスラヴィア現代史[新版]』岩波新書(岩波書店)、2021年2023

    • 著者名/発表者名
      中根一貴
    • 雑誌名

      東欧史研究

      巻: 第45巻 ページ: 148-149

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「チェコのベルルスコーニ」の挑戦―ANOの成功とチェコ政党政治2020

    • 著者名/発表者名
      中根一貴
    • 雑誌名

      大東法学

      巻: 29巻第2号 ページ: 29-67

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 世紀転換期チェコ政治におけるリーダーシップ研究の可能性―ヨゼフ・カイツルに関する研究の現状と課題2020

    • 著者名/発表者名
      中根一貴
    • 雑誌名

      国際比較政治研究

      巻: 29 ページ: 99-111

    • NAID

      40022746327

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 20世紀前半におけるチェコ人リベラル・ナショナリスト勢力の模索と政治変動2022

    • 著者名/発表者名
      中根一貴
    • 学会等名
      日本比較政治学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] コメント2021

    • 著者名/発表者名
      中根一貴
    • 学会等名
      大東文化大学国際比較政治研究所2021年度シンポジウム「地方から見た世界と日本―課題と可能性」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「チェコ問題」論争再考――世紀転換期チェコ政治におけるネイション・リベラリズム・国家2021

    • 著者名/発表者名
      中根一貴
    • 学会等名
      大東文化大学国際比較政治研究所第4回研究会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] ヨゼフ・カイツル――世紀転換期チェコ政治における狭間の政治指導者2019

    • 著者名/発表者名
      中根一貴
    • 学会等名
      大東文化大学国際比較政治研究所第3回研究会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi