研究課題/領域番号 |
19K01484
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
杉本 竜也 日本大学, 法学部, 准教授 (30588900)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ケアの倫理 / デモクラシー / 政治主体 / 政治参加 / ケアのデモクラシー論 / トクヴィル / 正義 / 脆弱性 / 自立的・自律的・理性的市民 / 相互依存 / ケアのデモクラシー / 主体性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代以降の市民社会およびその基礎となってきた近代リベラル・デモクラシー理論や現代市民社会においては「主体性」(subjectivity)概念が過剰に重視されてきた結果、近代考の政治に排除的性格が持ち込まれているのではないかという問題意識に立ち、「脆弱性」(vulnerability)を人間の本質的特徴であるとする「ケアの倫理」(Care Ethics)に基づいてこれらの理論に批判的考察を加えることを目的としている。
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研究実績の概要 |
2023年度は、本研究計画の最終年度に該当するため、研究計画全体を総括する内容の研究を推進した。具体的には、政治参加をキーワードとして、本研究のテーマである近現代政治理論の「主体性」に関する再検討を行った。 政治主体が文字通り「主体」として政治に現れるのは、政治参加の場面である。また、政治参加はデモクラシーという社会・政治体制の中核であるため、人間は政治主体としての自らをデモクラシーに顕然させることになる。そのため、政治参加について考察するためには、現代の政治参加に関する表層的な分析だけでなく、デモクラシーやそれを構成する人間に関する本質的な検討が必要である。よって、当該年度の研究では、アレクシ・ド・トクヴィルに代表される従来からのデモクラシー理論における政治参加の研究、次いでジョアン・トロントの政治理論を元にケアの倫理・ケアのデモクラシー理論における政治参加に関する研究、そして現代の日本社会における政治参加に関して天野正子の「生活者」概念を材料とする研究を行った。その研究成果は、「政治参加の意味変容」(『政経研究』第60巻第3・4号、2023年)として発表した。 これとは別に、トクヴィルのアリストクラシー概念に注目して、政治参加の本質について考察した論文を学会紀要に投稿したが、掲載却下の結果に至った。この論文に関しては、内容の再吟味を行い、別途投稿することを検討している。 最後に、本研究計画全体に関しては、その研究内容を総括する書籍の刊行を準備している。内容的には、西洋政治思想の流れの中にケアの倫理・ケアのデモクラシー理論を位置づけ、それに基づいた政治主体とその実践(政治参加)を考察する内容になる予定である。 また、本研究計画の成果物として、ジョアン・トロント『モラル・バウンダリー ケアの倫理と政治学』(勁草書房、2024年)の邦訳が刊行されることになっている。
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