研究課題/領域番号 |
19K01486
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
中谷 美穂 明治学院大学, 法学部, 教授 (60465367)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 手続き的公正 / 意思決定過程の選好 / 記述的代表 / サーベイ実験 / 決定の受容 / サーヴェイ実験 / 議会信頼 / 参加 / 代表制 / 参加型予算 |
研究開始時の研究の概要 |
従来政治学では、政策アウトプットへの選好研究が中心であり、意思決定過程に対する住民の選好は十分検討されてこなかった。しかしながら社会心理学の公正研究の知見では、人々は決定された政策だけでなく決定過程の公正さにも関心を払い、そのプロセス如何によって、人々の結果の受容意識が異なることがわかっている。本研究はこの公正研究の理論を援用し、地方レベルを対象として、「どのような意思決定過程が人々の結果の受容を導くのか」という問い探るものである。
|
研究実績の概要 |
本研究は、社会心理学における手続き的公正研究の知見を政治領域に援用し、「どのような意思決定過程が人々の公正認識を高め、結果の受容を導くのか」という問いを探るものである。昨年に引き続き、地方議会の意思決定過程を対象としているが、今年度は以下3点に注目して研究を行った。まず1点目として、議会のジェンダー構成と公正認識との関係に注目した。先行研究では、過少代表となっている女性の公正認識が議会構成の変化で変わりうるか、評価は定まっていない。加えて決定の場の少数派だけでなく、多数派の認識にも影響を与えるかといった論点も存在する。これらの先行研究を整理した上で、認識の性差も含めて検討した。2点目として、先行研究では議会構成と決定プロセスが公正認識に与える影響について、それぞれ独立に検討されているが、現実世界では複数のメンバーから構成される議会が、あるプロセスを取って決定に至るわけであり、両者を含めて検討した。3点目として、道徳的信念や価値観が活性化される争点では、自分の信条と結果が合致しているかどうかがプロセスのあり方以上に公正認識に強く影響するとの研究がある。日本の文脈では十分検討されていないためこの争点を対象とした。以上を確認するため、価値観が関わる争点を対象にシナリオ実験を二つ実施した。その際、議会のジェンダー構成を変化させるとともに、議会の意思決定プロセスとして、参加の機会(請願者の意見陳述の有無)を取り上げた。その結果、議会のジェンダー構成が均等であることが男女どちらの手続き的公正認識を高めるものであり、女性割合3割を超えて男女5割の均等構成に大きな効果があること、過少代表の側(女性)が5割をより公正と認識していること、当事者の声を聴く機会は当事者以外でより強く公正さが認識されることが見出された。この結果は2023年5月に開催される学会で報告予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度、所属する大学で与えられた役職から、研究に割ける時間が大幅に減ったほか、体調不良もあり論文公刊には至らなかった。しかしながら先行研究の整理を行ったほか、実験を計画し二つ実施できた。これらの結果をまとめて、2023年5月に学会発表を予定している。そのため「やや遅れている」を選択した。
|
今後の研究の推進方策 |
ここ数年の研究では決定の場のマジョリティ、マイノリティの区別と手続き的公正感の関係を検討してきた。昨年度はジェンダーにおける公正認識の違いに焦点を当て研究を行った。その結果、議会のジェンダー構成ならびに意思決定プロセスと公正認識との関係で性差があることを確認した。しかしながら、昨年度は議会の取る意思決定プロセスとして「参加の機会」しか扱っておらず、本年度はこれをさらに広げて検討を行う。そのために新たに実験調査を行う予定である。また最終年度となるため、学会発表を踏まえて論文公刊を行う予定である。
|