研究課題/領域番号 |
19K01487
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
ソジエ内田 恵美 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00350405)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | メタファー / 概念メタファー / 日本首相 / 政治演説 / 認知フレーム / 実証研究 / 首相演説 / 言説分析 |
研究開始時の研究の概要 |
概念メタファーの枠組みを用いて、戦後日本首相の国会演説に示される認知フレームの通時的変化を示す。メタファーは、既存の言葉で表現するのが難しい、複雑で抽象的な概念の一側面を、他の具体的な経験に基づいて理解を促すが、同時に、有権者の感情に訴えたり、複雑な現実を単純化したり、不都合な現実を曖昧化したりする機能を持つ。 周到に準備された国会演説には、各時代における政府側が有権者に対してどのように語るべきだと考えているか、その意識のあり方が現れる。本研究では、認知フレームの変化には、メディアの発達、経済や安全保障の動向、無党派層の増加といった社会的状況が影響を及ぼしたとの仮説を実証的に検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は(1)戦後日本の首相演説は、どのような概念メタファー(Conceptual Metaphor)(e.g., Lakoff, 1993; Lakoff & Johnson, 1980, 1999, 2003)による認知フレーム(cognitive framing)を形成して有権者に支持を訴えたのか、(2)概念メタファーにより形成された認知フレームはどのような通時的変化を経たのか、を検証する。各首相演説において用いられたメタファーのデータベースを作成し、6つの概念メタファー領域群(A)旅や経験、動きに関わる領域群、(B)擬人化に関わる領域群、(C)建物や構造に関わる領域群、(D)自然に関わる領域群、(E)戦いや競技に関わる領域群、(F)ビジネスに関わる領域群に分類した。軽量分析には限界があったため、2022年、2023年は、神話分析、物語分析の手法を用いた質的分析へと手法を変更して行なった。その結果、メタファー使用の変化から、物語の変化、規範的価値観の変化を通時的に捉えることができた。同時に、既存の文献研究から、各メタファー領域群に現れる物語をまとめた結果、共通の物語が繰り返し語られていることが示された。その多くは、各首相の政治アイデンティティとして解釈できるが、同時に時代(経済、政治、社会的要因)による変化とも捉えられる。本年は、これらの結果をまとめるに際し、データ処理の改善を試みた。神話分析、物語分析の手法は多岐に渡るが、実証研究として信頼性の高い(再現性が高い)手法が望ましい。そのため、コーディング・ルールをより精緻なものに変更した。また、メタファー、物語研究領域の先行研究をまとめ、それらとの整合性を重視した。本年度は、最終年であるので、これらの結果を、論文としてまとめて投稿したい。その際には、なぜこのような概念メタファーの変化が起こったのかを考察し、論じていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスによる遅れの影響があった。また、メタファー使用を数値化する試みに時間をかけたが、十分な結果が得られなかった。そのため、本研究は質的分析を中心に行い、一定の成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究結果を、複数の研究論文にまとめている。また、本研究を含め、今までの言説分析の研究手法を博士学生とともに教科書として執筆している。
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