研究課題/領域番号 |
19K01491
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
河本 和子 一橋大学, 経済研究所, 研究員 (50376399)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | ソ連史 / ソ連民法 / 計画経済 / 社会主義 / 社会主義的自由 / 社会主義経済 / 結婚と離婚 / 相続制度 / 科学技術革命 / 政治史 / 政治学 / ソ連・ロシア |
研究開始時の研究の概要 |
社会主義国家ソ連は、個人財産権を社会主義の名で肯定した。ただし、同時に政権は個人の財産を適正な範囲に収めるべく様々な規制を設けた。すなわち、自由主義を採用しないソ連体制は、社会主義を根拠に個人の自由を認め、また制限した。本研究は、こうした両義的な性格をもつ社会主義政権下の個人財産権を分析することによって、ソ連の政治体制の特質を明らかにすると共に、それが自由主義とどのように異なっているかに迫る。
|
研究成果の概要 |
本研究計画の下で、社会主義体制における財産権とそれに付随する問題群を研究した。主な成果は次の通りである。第一に、社会主義体制下で財産権と相続権がどのようなロジックで正当化されていたかを明らかにした。第二に、戦間期ソ連で外国人投資家がなぜどのような特権を許されたか、その特権がどのように制約されていったかを明らかにした。第三に、第二次世界大戦中の婚姻および離婚の制度について分析し、戦争という異常事態下でどのような制度的変更がなされたかを明らかにした。第四に、スターリン後のソ連における割賦販売制度導入を分析し、計画経済体制下での信用創出の在り方を明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
社会主義体制は、通常、自由主義体制とは対極にある政治体制と理解されている。この二項対立的な理解には国際政治上の対立も影響を及ぼしている。確かに自由主義体制と社会主義体制との間には、自由主義を採用するか否かという根本的な差異があるけれども、本研究があきらかにしたところによれば、財産権および相続権の保障、割賦販売制度の導入など、自由主義諸国と同様の制度を取り入れている。異なるのは、それぞれの制度の存在を正当化する理念的根拠であり、制度の作り方である。本研究は、二項対立的理解を排し、両体制間の差異を具体的な制度の検討を通じてより繊細に明らかにした点に学術的かつ社会的意義を有する。
|