研究課題/領域番号 |
19K01498
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三浦 聡 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (10339202)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | グローバル・ガバナンス / トランスナショナル・ガバナンス / ガバナンス・モード / プラットフォーム / エコシステム / 持続可能な開発目標(SDGs) / 国連グローバル・コンパクト / 持続可能な開発 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、持続可能な開発の分野に関して、ガバナンス・モードの体系的研究を通じて、グローバル・ガバナンスの実効性・正統性・構造のゆくえを探るものである。ガバナンス・モード論は、国家・非国家の多様な「権威」(「ガバナー」)が「いかにガバナンスを行うか」を問う。本研究の目的は、①既存のガバナンス・モード論を総合し、様々なモードを包括的に捉えるための分析枠組を構築する、②様々なモードが連動するマルチモーダルなガバナンスの動態を解明する、③ガバナンス・モードがガバナーの権威やパワーに及ぼす影響をさぐる、という3点にある。
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研究実績の概要 |
【研究成果】 本年度の主な研究成果は、日本国際政治学会2020年度研究大会における研究報告に際して提出した論文("Life Between Fragmentation and Integration: An Ecosystem Model of Global Governance")である。 【研究内容】 本論文は、①「ガバナンス・エコシステム」の概念を「ガバナンスの様々な手段から成る創発的なオープン・システムとそれら手段を生産・促進・利用する実践共同体の結合」と定義し、②その主な構成要素を概念的・理論的に検討した上で、レジーム(・コンプレックス)、ガバナンス・アーキテクチャ、ポリセントリック・ガバナンス、組織エコロジー、オーケストレーション等の既存の類似概念との異同を考察し、③ガバナンス・エコシステムの創発メカニズムを素描し、④国連グローバル・コンパクト(UNGC)、持続可能な開発目標(SDGs)、ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)をめぐるガバナンスを事例として取り上げ、⑤従来の「国際制度の設計」論とは異なる「エコシステムの創発」論として、ガバナンスの「エコシステム戦略」を素描した。 【研究の意義・重要性】 本論文の意義・重要性は、前年度の研究成果である「ガバナンス・プラットフォーム」の概念を踏まえて「ガバナンス・エコシステム」の概念を定義し、類似概念との関連性を丹念に位置づけ、グローバル・ガバナンスのエコシステム戦略を構想した点にある。管見の限りでは、プラットフォームとエコシステムの概念を中心に据える(グローバル・)ガバナンス論は国内外に皆無であり、今後はグローバル・ガバナンスの理論と実践への貢献を目指して改稿の上で投稿を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の狙いは、ガバナンス・モードを体系的に捉えることを通じて、持続可能な開発のマルチモーダルなガバナンスを理論的・実証的に明らかにすることである。これに関連して、前年度は「ガバナンス・プラットフォーム」の概念を提示した論文が刊行された(Christopher Ansell教授との共著論文"Can the power of platforms be harnessed for governance?")。同論文は、すでにいくつかの論文で参照されている。 これを受けて今年度は「ガバナンス・エコシステム」の概念構築を行い、同概念がグローバル・ガバナンスの理論と実践にいかに貢献しうるかを考察した(「研究実績の概要」参照)。繰り返すならば、ガバナンス・エコシステムはガバナンス・プラットフォームを中心として創発するガバナンス・システムである。ガバナンス・エコシステムは多様なガバナンス・モードから成るガバナンスの生態系であるとの発想をグローバル・ガバナンス論に導入することで、ガバナンス・モードの動態を体系的に捉えることが可能になる。この意味で、ガバナンス・エコシステムの概念とモデルは、グローバル・ガバナンスにおけるガバナンス・モードの体系的考察を目指す本研究の基礎となる概念的・理論的装置だと言え、この時点でこの基礎を打ち出すことができたことは本研究の今後の進捗をさらに促すと考えられる。 本課題研究は理論面で以上のように進捗しているが、コロナ禍により様々な国際会議が中止かオンラインでの開催を余儀なくされているため、意義ある参与観察を行うのが難しい状況にある。これらを総合的に勘案して「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
上述の概念的・理論的研究は、本課題の理論面の中核を成すものであり、今後は上述の学会提出論文を改稿した上で投稿を目指す。加えて、個々のガバナンス・モードについては近年様々な研究が現れているので、これらの動向を追いつつ、2017年に刊行した論文(「持続可能な開発のトランスナショナル・ガバナンス」)で示した分析枠組のアップデートと精緻化を行う。併せて、これらの研究で論じた、グローバル・ガバナンスの基本概念の考察をさらに深めたい。 事前の計画ではいくつかのイニシアティブの参与観察を行う予定であったが、現況下では海外出張が困難であり、またこの状況が当面は続くことが予想されるため、機会をとらえてウェビナーなどに参加しつつ、インターネット上での情報収集と先行研究のレビューを中心に行う予定である。
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