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ワシントン体制はなぜ崩壊したか──国際秩序におけるコミットメント問題

研究課題

研究課題/領域番号 19K01499
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分06020:国際関係論関連
研究機関帝京大学

研究代表者

中谷 直司  帝京大学, 文学部, 准教授 (70573377)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードワシントン会議 / 新四国借款団 / 国際秩序 / 平和的秩序変更論 / 戦間期 / ワシントン体制 / 日米関係 / 日英関係 / 海軍軍縮 / 日英同盟の廃棄 / コミットメント問題 / 日本外交史 / 秩序の平和的変更 / 合理的選択論 / 九国条約 / 第一次世界大戦 / 中国問題 / 国際関係史 / 日英同盟 / 国際連盟
研究開始時の研究の概要

第一次世界大戦(1914-1918年)後の東アジアでは、日米英を中心に(1)海軍軍縮を実施・維持するとともに、(2)中国の不平等状態の緩和に関係国が協調して取り組む協調体制が形成されたといわれる。いわゆるワシントン体制である。しかし1930年代にはワシントン体制は崩壊してしまう。従来、崩壊の原因は日米英の理念や利益の対立とのためだと考えられてきた。対して本研究は、日米英の利益や理念が実は相当に似通っていながら、その事実を確認する有効な手段や仕組みが存在しなかったため、ワシントン体制が崩壊した可能性を検証する。

研究実績の概要

本研究は、1921-22年のワシントン会議における国際交渉・協定を基軸として、アメリカ・イギリス・日本の主導で形成された第一次世界大戦後の東アジア秩序の脆弱性の原因を、主催国のアメリカの外交的指導力の信頼性の低さという観点から分析することを目的としている。
以上の目的を持つ研究計画の4年目となる2023年度は、第一に、コロナ禍の影響で滞りがちであった未公刊資料(とくにアメリカの外交文書などの政府文書)の収集を前年度から継続して実施し、整理と読解を進め、ワシントン体制の形成をめぐる国際関係の再検討をすすすめた。その際には、本科研と並行して参加した日本海軍をめぐる共同研究の成果も重要な意味を持った。
以上と並行する形で、第二に、ワシントン会議ワシントン体制の全史となった対中国際借款団の結成過程についても、近年新たな研究が発表されているので、その内容の妥当性について一次資料の再検討をしつつ検証を行った。
さらに、第三に、他の科研費による研究プロジェクトと連携する形で、本研究の分析枠組となっている国際秩序論についても、現代国際関係研究における戦争原因論と戦間期の平和的秩序変更論との共通性に注目し、両者が時代を越えて抱える課題について検討を進めた。
以上の作業のうち、第一のワシントン体制の形成をめぐる国際関係については、学術論文集にワシントン会議の限界の原因を再検討する論考を寄稿した。さらに、ワシントン会議後の日本外交について、経済的相互依存を政策的に追求したとされる通説的評価を再検討する必要を説く論文を発表した。第二の新四国借款団交渉については、最新の研究の主張を一次資料を踏まえて批判的に検討する学会発表を行った。第三についても、関連学会の国際秩序をめぐる政策決定を統一テーマとする分科会で学会発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍で当初3年にわたって国内外(とくに海外)で資料調査を実施できなかった影響が現在も続いており、本研究の根幹を占める日米英の政策文書の検討が遅れがちである。公刊資料および二次文献の検討で補ってはきたものの限界があり、このため研究期間も1年間延長した。このため、「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

未公刊資料の収集は依然として十分ではないが、とくに日本およびアメリカ側の資料については相当の収集ができたので、分析作業に集中して取り組む。以上の二ヵ国に並ぶ重要アクターであるイギリス側についても、公刊資料および従来収集した未公刊資料を組み合わせて、二ヵ国と同等の分析精度を維持するように努める。さらに、為替の状況で滞在期間に非常の制約を受けそうだが、本年度中にもう一度アメリカもしくはイギリスで未公刊資料調査を実施する。その上で、単著書籍として本研究の成果をできるだけ早期に公刊することを目指す。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2019

すべて 雑誌論文 (11件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] 外交の「経済化」は可能だったのか2024

    • 著者名/発表者名
      中谷 直司
    • 雑誌名

      経済史研究

      巻: 27 号: 0 ページ: 51-76

    • DOI

      10.24712/keizaishikenkyu.27.0_51

    • ISSN
      1344-803X, 2433-6386
    • 年月日
      2024-01-31
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] (文献案内)「クリストファー・ソーン『満州事変とは何だったのか』」2024

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 雑誌名

      赤木完爾、国際安全保障学会編『国際安全保障がわかるブックガイド』

      巻: なし ページ: 218-219

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 何がワシントン会議の「限界」をもたらしたのか──国際政治の意図されざる結果2023

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 雑誌名

      兒玉州平・手嶋泰伸編『日本海軍と近代社会』吉川弘文館

      巻: なし ページ: 38-74

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際関係史から見た日英同盟の終焉──二つの同盟政治の狭間で2023

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 雑誌名

      近代日本研究

      巻: (39) ページ: 135-176

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評 種稲秀司『幣原喜重郎』〈人物叢書〉(吉川弘文館、二〇二一年) 熊本史雄『幣原喜重郎──国際協調の外政家から占領期の首相へ』(中公新書、二〇二一年)2022

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 雑誌名

      東アジア近代史

      巻: (26) ページ: 146-151

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 第十二章 軋み始めた日米関係──一九一五~三〇年の日米関係2022

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 雑誌名

      畠山圭一編『テキスト日米関係論』ミネルヴァ書房

      巻: なし ページ: 205-220

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 書評 塚本英樹著『日本外交と対中国借款問題──「援助」をめぐる協調と競合』2021

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 雑誌名

      ヒストリア

      巻: (285) ページ: 41-49

    • NAID

      40022595992

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Washington Conference 1921-19222021

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Nakatani
    • 雑誌名

      1914-1918-online. International Encyclopedia of the First World War, ed. by Ute Daniel, Peter Gatrell, Oliver Janz, Heather Jones, Jennifer Keene, Alan Kramer, and Bill Nasson

      巻: なし

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日英同盟廃棄から学ぶ「強固な日米同盟」実現の鍵2021

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 雑誌名

      Wedge

      巻: 33(12) ページ: 74-76

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 書評 樋口真魚『国際連盟と日本外交──集団安全保障の「再発見」』東京大学出版会、2021年2021

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 雑誌名

      帝京社会学

      巻: (35) ページ: 145-164

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ワシントン会議──海軍軍縮条約と日英同盟廃棄2021

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 雑誌名

      筒井清忠編『大正史講義』ちくま新書

      巻: なし ページ: 235-254

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 新四国借款団交渉における満蒙除外問題の再々検討──熊本史雄氏と久保田裕次氏の最新成果を踏まえて2023

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 学会等名
      東アジア近代史学会 2023年度研究大会(第28回)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「平和的な秩序変更」の理論は政策決定の規範的な枠組となり得るか2023

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 学会等名
      日本国際政治学会2023年研究大会、分科会E-4(政策決定分科会II)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 討論 樋口真魚『国際連盟と日本外交』──その意義と論点2021

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 学会等名
      第4回東アジア史検討会(日本国際問題研究所)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 第一次世界大戦を契機に東アジアの国際秩序はどのように変化したか2021

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 学会等名
      第104回経済史研究会(大阪経済大学日本経済史研究所)
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 書評報告 種稲秀司『幣原喜重郎』吉川弘文館、2021年 、熊本史雄『幣原喜重郎』中央公論新社、2021年 ──その意義と論点2021

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 学会等名
      東アジア近代史学会第206回研究例会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] ワシントン会議はどのように準備されたか──日米英の会議準備の比較検討2021

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 学会等名
      日本国際問題研究所公開ウェビナー:国際連盟・ワシントン体制100周年記念ウェビナー──戦間期東アジアの国際主義の再検討
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] ワシントン会議への道程──日本とイギリスの会議準備の比較検討2019

    • 著者名/発表者名
      中谷直司
    • 学会等名
      ロシア史研究会大会、パネル「シベリア出兵と国際環境」
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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