研究課題/領域番号 |
19K01502
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
熊野 直樹 九州大学, 法学研究院, 教授 (50264007)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ナチス・ドイツ / 「大東亜共栄圏」 / 麻薬政策 / 「満洲国」 / 南方軍政 / 阿片 / コカ / 麻黄 / ペルビチン / 阿片断禁政策 / 阿片供給基地 / 安楽死 / 罌粟栽培 / 植民地朝鮮 / 朝鮮総督府 / 蒙疆 / 馬来 / 蘭印 / 錫 / 日本軍政 / バーター |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ナチス・ドイツの麻薬政策と「大東亜共栄圏」との関係を実証的に明らかにする。具体的には、ナチス・ドイツは「満洲国」から輸入した阿片をモルヒネとして障害者等の「安楽死」にも使用していたのではないか。日本から大量に輸入したコカの葉が、ドイツの麻薬政策としてどのように使用されていたのか。覚醒剤の原料である麻黄は内モンゴルで採取されていたが、この麻黄も独日間で取引されていたのではないのか。第二次世界大戦中「大東亜共栄圏」においては、阿片と戦時重要物資とがバーター取引されていたのではないのか。以上の諸問題を実証的に明らかにするのが、本研究の概要である。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツが日本と「満洲国」から輸入した麻薬の一部が、東南アジアを中心とした「大東亜共栄圏」において戦争に必要な物資とバーター取引されていたのではないかという問いを実証的に検討することであった。すなわち第二次世界大戦中におけるナチス・ドイツの麻薬政策の実態を「大東亜共栄圏」との通商貿易の観点から明らかにすることであった。本研究で明らかになったのは、第二次世界大戦期においてナチス・ドイツは「満洲国」から輸入した麻薬、特に阿片を南方軍政下のインドネシアへ輸出しており、その一方でその見返りに戦争に必要な錫、ゴム、タングステン等を獲得していたということである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
第二次世界大戦期の日本の阿片政策については、この間その実態が明らかにされている。しかし、第二次大戦中にナチス・ドイツが「大東亜共栄圏」から阿片、コカ、麻黄を輸入して、本国へ輸送していた事実はこれまで明らかにされてこなかった。しかも、第二次大戦中に「満洲国」から輸入した阿片を、ナチス・ドイツは「大東亜共栄圏」の南方軍政下にあったインドネシアに輸出し、その見返りに戦争物資として不可欠な錫やゴム等を大量に獲得していた。実質的に阿片と戦争物資との交換がなされていた。本研究では、これまで全く明らかにされてこなかった以上の史実を、これまで使用されてこなかった史料に基づいて明らかにした点が学術的意義である。
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