研究課題/領域番号 |
19K01508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
浜口 裕子 拓殖大学, 付置研究所, 国際日本文化研究所客員教授 (20192536)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 留日学生 / 陸軍士官学校 / 振武学校 / 成城学校 / 中国東北 / 人的流れ / 日中交流 / 中国人留学生 / 日露戦争 / 軍事留学 / 中国東北部 |
研究開始時の研究の概要 |
戦前、日本陸軍士官学校に留学していた中国人留学生の中でも、特に日本と関係が深かった中国東北(満洲)からの留日学生を中心として、その陸士人脈の解明と、彼らが帰国後東アジアの歴史の中でいかなる役割を果たしたかについて分析する。 研究方法は、コンピューターのカードソフトを用いて留日学生の経歴を整理し追うとともに、関わった可能性のある日本軍人の動向も整理し、陸士の同期や教官に誰がいたのか、日本軍人の誰と関わりがあったかの解明に努め、また陸士関連の史料を本研究の観点から見直し、それが満洲事変や満洲国、日中戦争そして戦後の東アジアの国際関係とどう関わるのか-人的流れと東アジアの国際関係について考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、明治期に日本に留学した主として中国人留学生に関してその留学体験の内容とその後の彼らの動向を追い、それが東アジア国際関係史に与えた影響と意義を考察する。 明治維新後、日清戦争・日露戦争を経て国際的地位を向上させていった日本は、東アジア近隣諸国にとって、近代化のモデルの一つとなっていた。特に軍事的な近代化は、中国や朝鮮にとって、喫緊の課題であった。日露戦争直後には、日本がロシアに勝利した事実から、10年前の日清戦争で日本に敗れた清国が日本への軍事留学を望んだ。これにより自国軍の早急な近代化実現に拍車をかけることができると考えたのである。結果的に日露戦争直後の時期に中国から留学した者から、その後の東アジア国際関係史に大きな足跡を残す軍人、政治家が多数出た。この事実を踏まえ、本研究では、陸軍士官学校と、その予備校的存在であった振武学校、成城学校に留学した中国人学生を中心に追っている。中でも、日露戦争後に日本が特別に関係を深めた中国東北部からの留日学生を取り上げ、その軌跡を追うことを研究の主軸にしている。 当該年度は本研究の4年目にあたり、収集資料の整理を進めつつ、これまでの研究を整理・分析していくことが課題であった。ただし、未だコロナ禍の影響が大きく、行動範囲が制限され、資料収集・整理が思うようには進まなかった。予定していた学会出張や研究体制の整備は進んだとはいえない。そこで、パソコンのカードソフトを使って、整理項目を設定し、打ち込みに時間を費やし、手元の資料の整理を進めた。また昨年度目録とその解説を公開した成城学校の関連資料の分析や、留学生政策の背景となった東アジア国政政治史の流れを再確認し、これらをまとめることに注力した。その成果の一部を使って『大学生のための日本外交史講義』(一藝社)、『大学生のための東アジア国際政治史講義』(一藝社)として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度・一昨年度に続きコロナ禍により研究の予定は大幅に遅れている。特に資料収集の面で思うように動くことができないまま時間が過ぎた。コンピューターのカードソフトを利用して、ある程度以上の件数の人材の情報を整理していくことが本来のこの研究の中心であったが、なかなかそこまで至らない状態にあったため、見切り発車で打ち込みを続けることにした。情報の整理は後から加えることも可能であるので、パソコン設定を確認しながら、手元にある資料で進めている。 さらに資料整理を手伝ってくれている助手の方の状況も不安定だったこともあり、単純作業であるはずの打ち込みも予定していたのよりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度・一昨年度に続きコロナウィルスの影響で研究活動が大幅に制限された。このため資料収集と資料整理が思うように進まなかった。カードソフトのファイルメーカーを使って該当留学生の動向を整理する予定であったが、この作業に必要な助手の方が、コロナの影響で研究室に来ることを渋ることが多く、なかなか基礎的な作業が進まなかった。しかし昨年度の後半になってワクチンが普及してだいぶ状況の改善が見られた。ただし作業は遅れ気味である。 発表を考えていた国際学会は様子を見ながらといった状態で、チームを組んで発表をすることは、難しい状況である。特に資料整理・分析の遅れはこの研究にとって致命傷となるため、データの件数を増やすことを第一に考えて、これに注力していきたい。手間と時間がかかる作業のため、やり方も効率を考えて進めていきたい。
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