研究課題/領域番号 |
19K01515
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉次 公介 立命館大学, 法学部, 教授 (40331178)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 米軍基地問題 / 戦車輸送阻止事件 / 飛鳥田一雄横浜市長 / 河津勝相模原市長 / 田中角栄内閣 / 日米関係史 / 在日米軍 |
研究開始時の研究の概要 |
日米安保体制成立後、本土の米軍基地の「危険性」は非常に深刻であり、安保体制を肯定する保守勢力も「危険性」低減やナショナリズム、あるいは安保改定や70年安保を乗り切るという観点から米軍基地の削減を求めていた。それゆえ本土の米軍基地削減は、革新勢力のみならず、政府・自民党にとっても歓迎すべきことであった。 本土から撤退した海兵隊や空軍部隊の一部が沖縄に移駐し、本土の「危険性」低減は沖縄への「危険性」偏在をもたらしたといえる。本土の国民の反基地感情が緩和したことは、1980年代以降、沖縄米軍基地問題を置き去りにしたまま、日米「同盟」が強化される重要な下地となったと思われる。
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研究実績の概要 |
2022年度から、1972年に横浜市と相模原市で起きた「戦車輸送阻止事件」(戦車闘争)に焦点を当てて、資料調査を進め、論文の執筆に着手していたが、2023年度においてはさらに調査を進め、これまでの研究成果として、論文「「戦車輸送阻止事件」と飛鳥田一雄」を執筆・公表することができた。 2023年度における重要な資料調査の成果は、神奈川県の相模原市公文書館における調査を実施し、相模原市の歴史的公文書を多く閲覧・複写することができたことである。相模原市の歴史的公文書のなかには、横浜市の飛鳥田一雄市長の動向を示す文書も含まれており、上記の論文執筆上、有意義であった。 論文では、「飛鳥田方式」ともいわれた戦車輸送阻止事件における飛鳥田の行動の特徴として、①「市民重視」の思想を出発点としていたこと、②法律を楯に取り、自治体の権限を使う実践的な「遵法戦術」を採用したこと、③「反安保」の社会党左派の政治家としてではなく、行政の長としての立場を踏まえた行動を心掛けたこと、などを明らかにした。そして、戦車輸送阻止事件における「飛鳥田方式」は、「市民重視」の思想に基づく、首長としての立場を踏まえた実践的な「遵法戦術」を重要な特徴としていたといえると結論づけた。 他方で、「飛鳥田方式」の限界として、①最終的には米軍戦車のベトナム向け輸送を阻止することはできなかったこと、②日本政府による車両制限令の改正で、自治体が米軍基地に抵抗する権限を奪われたこと、などを指摘した。 現在は、飛鳥田と並ぶもう一人の主役というべき、相模原市の河津勝市長を中心に据えて、戦車輸送阻止事件をより立体的に描くべく、調査を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で予定していた調査が実施できず、テーマの修正を余儀なくされたため、2022年度までは研究がなかなか進まなかった。2023年度においては、出張を伴う資料調査を実施することができるようになったため、論文を執筆し、公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、河津勝相模原市長を中心に据えて、「戦車輸送阻止事件」についてさらに調査を進める予定である。昨年度、相模原市公文書館で閲覧・複写した歴史的公文書に加えて、河津の回顧録である『わが人生』(相模原市立図書館所蔵)、相模原市の『市報 さがみはら』、相模原市議会の議事録(以上、相模原市公文書館所蔵)、『神奈川新聞』などの調査・分析を進めることで、保守である河津市長が戦車輸送阻止事件にいかに対応したのかを明らかにする。
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