研究課題/領域番号 |
19K01520
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
潘 亮 筑波大学, 人文社会系, 教授 (80400612)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 国連 / 冷戦 / 日本 / 中国 / アジア / 東アジア / 国連外交 / 日米中 / 国家と個人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は豊富な一次史料を駆使し、冷戦期東アジア国際関係の形成過程を主権国家(殊に日本、米国と中国)、国連、及び個人の三つの角度から検証するものである。政府対国際機構、国際機構対政府、そして個人対政府・国際機構という複数の視座を用いることによって主権国家や政府の重要性を強調する従来のアプローチに比べ、アジア地域の国際秩序形成の歴史的な背景をよりダイナミックに解釈し、近現代国際関係における国際機構、国家及び個人それぞれの役割と限界への理解を深めることを目指している。
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研究実績の概要 |
本年度において、コロナ感染症の影響で日本国内外の史料の利用が依然厳しく制限されていたなか、主に以下の三つの方向で本件研究を進めていた。 (1)冷戦期日本の国連外交に関する著書の執筆を続行していた。限定利用(一日4時間、6名限度)が許されていた外務省外交史料館における史料調査を努めて継続的に行いつつ、主に1960年代から80年代にかけての日本と国連との関係に関する各章の仕上げに力を入れていた。その結果、計四章分を完成し、これで本書の全体像を確立することができた。更に、1980年代以降の国連外交に関する史料調査も行っており、凡そ120冊の外務省開示文書を閲覧し、大量のデータを収集できた。本年3月までに、それらの史料の整理と解読が一段落つき、それに基づいてこの時期の国連外交に関する著書の内容を更に充実化させたと同時に、ジャーナル論文も書き上げており、目下投稿中である。 (2)政治や安全保障以外の国連関係機構と日本との関係に関する研究の準備に着手し、外交史料館における史料調査を開始した。その成果を踏まえ、次年度より執筆を始める論文(または著書)の構想を練り始めている。 (3)日本以外の東アジア諸国と国連との関係について、本年度、海外における史料調査はコロナ感染症の影響で中断しているままであったが、以前、途中まで進んでいた調査で入手した史料の整理と解読作業を継続的に行っていた。その結果、今後、論文もしくは単著として執筆可能な題目候補を複数析出しており、次年度から再開する予定である海外での調査の方向性を定めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の成果を踏まえ、本年度は特に著書の執筆作業に際して相当大きな進展が見られたが、他方、史料調査に関しては特に以下の側面において若干の遅れが生じている。 (1)当初の計画では、二年目(2020年度)より、ジュネーブ、ローマ、パリ、ニューヨーク、北京・上海の順で史料調査を実施する予定であったが、当該年度におけるコロナ感染の発生により、実施に付することはできなかった。その後も何度か計画を立て直してみたが、ヨーロッパ、北米と中国方面の感染状況が不透明であり、航空運賃の高騰や航空券の入手も困難であるため、本年度においても調査の実施に目途が立っていない。日本国内の史料調査に関しても、外交史料館の厳しい入館制限により、二ヵ月に一回(4時間)の訪問が限界となっていた。そのため、目下、執筆中の著書のテーマに関係する史料の調査を最優先にせざるをえなくなり、故に著書以外の課題に関する調査は遅々と進まなくなっている。 (2)本研究プロジェクトは史料調査を中心に進める必要があり、前年度までは過去の調査で入手済みの史料に基づいて何とか一定のペースで作業を進めてきた。しかし、今年度に入ると、研究の内容により、以前の調査でカバーしていなかった史料の利用が必要となる場面が増えており、その分の作業はやや遅れ気味となっている。 (3)上記の事情に加え、個人的な理由になるが、本年度後半、私自身を含め、家族全員がコロナに相次いで感染したため、折角確保できた史料館での調査時間も放棄を余儀なくされ、特に9月以降の二、三ヶ月間、一度も史料調査を実施できない事態となってしまった。 以上の問題点は概ね、コロナ感染症に由来した技術的な問題であり、本研究プロジェクト自体は現在も、当初の企画に沿って前進しているが、技術的な障害の解消または改善により、次年度はより大きな進展が期待できるはずである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、主に下記の面において研究作業を前進させたいと考えている。 (1)コロナ感染症対策の変更などにより、海外渡航をめぐる制限が大きく緩和しはじめており、それまで実行できなかった日本国外での史料調査を速やかに再開したいと考えている。その際、特に空白の多いヨーロッパ方面(ジュネーブやローマにある各国連機関文書館)での調査の実施は急務であるが、時間的に余裕がある場合、北米方面の国連文書館での補充的な調査も行いたい。なお、外務省外交史料館が5月8日よりコロナ前の随時利用体制に復帰したため、同館における調査のペースも上げようと考えている。 (2)上記(1)の作業と並行して、本研究プロジェクトの中核である著書の総仕上げに全力を尽くし、同書の年内の刊行を目指していきたい。 (3)著書以外のテーマに関する単体の論文の執筆作業も可能な限り開始し、国際ジャーナルへの投稿を目指す。更に、可能ならば、冷戦初期の国連と東アジアとの関係に関する英語著書の企画構想も具体化し、執筆の準備を開始したい。 (4)コロナの影響で中断していた海外の研究者との共同作業の模索も再開したいと考えている。 以上の各作業を通して、本研究プロジェクトの完成に向けて一層努力を重ねていきたい。
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