研究課題/領域番号 |
19K01527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
阿部 悠貴 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (70588665)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 規範の論争 / 国際関係論 / 規範 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は絶対的な価値を唱える「強い規範」より、他の利害との対立を抱える「弱い規範」の方が社会に浸透するという、既存の理解とは異なる視点を提示する。具体的には日本とドイツのシビリアン・コントロールの違いから検討し、東西冷戦の最前線に位置したドイツでは再軍備が避けられなかった反面、シビリアン・コントロールを徹底させることで反軍事主義は浸透していった。他方、再軍備そのものが論争となった日本では、絶対的非武装観に基づく反軍事主義が形成されたため、「軍」の存在を前提とし、その活動を監視するシビリアン・コントロールのいてその影響力は限定的なものとなった。本研究はこの点を掘り下げて検討するものである。
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研究成果の概要 |
規範に関する国際関係論の研究を包括的に渉猟し、2000年以降に発表された論文、書籍をほぼカバーできた。既存研究ではなぜ「規範の論争」が生じるのかという点が十分に示されてこなかったが、本研究はその原因に関する一つの視点を提示することを目的に研究を進めてきた。 この理論的考察を踏まえ、日本とドイツの「反軍事主義」規範について検討してきた。これまでの研究では両国の安全保障政策はこの反軍事主義規範の影響により類似していることが論じられてきたが、現実には大きく異なること、特に文民統制(シビリアン・コントロール)の点において異なることを示すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的な観点からは、近年、国際関係論において盛んに議論されている「規範の論争」について、その発生原因を示すことができたと考える。これまでの研究では論争が規範を強化させるという見解と、弱体化させるという見解がそれぞれ示されている。しかし何が両者を分けるのかという点は十分に検討されてこなかった。これに対し、本研究は「妥協を強いられた規範」であるかという点が基準となっていることを示した。 この視点を踏まえ、日本とドイツは同じ「反軍事主義」規範を共有する国と考えられているが、なぜ文民統制という点においてその政策は大きく異なるのかを明らかにしてきた。この点において社会的な意義を見出せると考える。
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