研究課題/領域番号 |
19K01544
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
末廣 英生 神戸大学, 経営学研究科, 名誉教授 (30162837)
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研究分担者 |
小林 創 関西大学, 経済学部, 教授 (10347510)
安部 浩次 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (40582523)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | リーダーシップ / ゲーム実験 / 情報選択 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1人1人の貢献が合わさって成果が生み出され、その全体成果が高ければ各メンバーが利益を得るチームの状況で、リーダーシップが自然発生してチームが良い結果に導かれる可能性とその阻害要因を、ゲーム理論に基づく実験によって検証しようとするものです。大学生に、自分がチームで行動するための情報を、他の人とは独立した情報か、似かよる傾向のある情報のいずれか一方を選んだ上でチームへの貢献を決めてもらいます。その行動データを収集し、独立した情報を選ぶとリーダーシップが起こりやすく良い結果に導かれるにもかかわらず、人は互いに似た情報を選びたがりその結果リーダーシップが阻害される、という仮説を立証します。
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研究実績の概要 |
本研究は、不確実性下のチーム生産において、チーム生産性に関して各メンバーが受け取る部分情報のあり方を被験者が選ぶことができる場合、被験者はどのようなあり方を選ぶか、その選択がチーム生産におけるリーダーシップの出現をどのように左右するかを、ゲーム実験で明らかにすることを目指している。メンバーが受け取る部分情報のあり方として、メンバー間の情報が(A)独立(B)相関の2通りを考え、 (A)と(B)とではリーダーシップが起こるメカニズムは異なり、(A)ではシグナリングのメカニズムが、(B)では互恵行動を引き出すためのメカニズムが生起するという仮説を立て、被験者の(A)(B)選択がリーダーシップの出現を左右する仕方を調べる。 2022年度までの研究では、(A)と(B)それぞれのあり方の下で、被験者のリーダー・フォロアー行動およびフォロアーにまわった被験者のチーム生産性に関する信念を測定する実験と、(B)で被験者の情報識別能力を部分的に制限する実験を行った。 2023年度の研究では、2022年度までの実験で得られたデータ解析研究を行った。その結果、次が分かった。(1)上記(A)(B)のリーダーシップの出現率は、研究計画での予想通り(A)は(B)より高かったが、予想に反して(B)においても一定程度のリーダーシップが発現した。(2)予想に反し(B)においても(A)と同様の信念形成が行われることが分かった。これは、(A)と(B)とではリーダーシップが起こるメカニズムは異なるとの当初推測を疑わせる結果である。 しかし、さらにデータ分析を進め、(B)で被験者の情報識別能力を部分的に制限する実験の結果と詳しく比較すると、(B)の実験で観察されたリーダーシップはシグナリングではないという結論を得ることができた。 これらのデータ分析の結果を、実験経済学の2つの国際学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、不確実性下のチーム生産において、チーム生産性に関して各メンバーが受け取る部分情報のあり方を被験者が選ぶことができる場合、被験者はどのようなあり方を選ぶか、その選択がチーム生産におけるリーダーシップの出現をどのように左右するかを、ゲーム実験で明らかにすることを目指すものである。 まず、メンバーが受け取る部分情報のあり方が、(A)メンバー間の情報が独立か、(B)相関か、に応じてリーダーシップの出現が異なるという仮説を検証する実験を2022年度までに実施した。 2023年度に入り、それまでのデータを精査・分析して、仮説の妥当性を確認することができた。 そこで、チーム生産性に関して各メンバーが受け取る部分情報のあり方を被験者が選ぶことができる実験設計での最終実験を2024年2月に実施すべく、実験設計研究と実験実施準備(実験室実験で用いるプログラムの設計研究等)を行った。 ところが、実験実施の直前に、実験を担当する共同研究者が、家族の突然の重い急病のため休職し、予定していた実験を年度内に実施することが困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
実験を担当する共同研究者の研究復帰を待って、もともと2024年2月に実施する予定であった、本研究課題の最終実験を実施する予定である。
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