研究課題/領域番号 |
19K01545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
安部 浩次 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (40582523)
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研究分担者 |
禿 寿 仁愛大学, 人間学部, 講師 (90963215)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 実験経済学 / 行動経済学 / 社会的選好 / 不平等回避選好 / 不公平回避選好 / ゼロ効果 / 意思決定理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、社会的選好(つまり、意思決定が他者へ及ぼす影響を明示的に考慮した選好)に関する意思決定理論および意思決定実験研究を行う。特に、複数個人から成る社会の所得分布に関する個人の社会的選好に注目し、その実態はどのようなものかを実験研究をとおして考察し、それはどのようにモデル化されるのかについて意思決定理論研究をとおして考察する。そして、歪みのない(少ない)社会的選好の測定方法を提案する。
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研究実績の概要 |
2022年度にそれ以前に行なった実験で得たデータを詳細に再検討し、それなりの被験者がかなり低い水準の社会的選好しか示さないというデータの有り様が特定の被験者集団に依存している可能性を考察する必要があると判断した。そこで、別の被験者集団を用いて追加実験を行う予定であったが、2022年度は必要な被験者数を集めることができなかった。そこで、2023年度はこのデータの収集に注力した。そして、それ以前の実験で得たデータ数と同程度の数のデータを異なる集団から得ることができた。 二つの集団でデータが示す傾向を比較した結果、第一に、集団A(以前集めたもの)と集団B(2023年度に追加で集めたもの)の比較において、集団Bに比べて集団Aの方が低い水準の社会的選好を示していることが確認された。そして、社会的選好の水準に関する限り集団Bのデータは海外で行われたデータにより近いことが見てとれるものだった。 そして、第二に、集団Bは集団Aに比べて社会的選好の水準は高い傾向にはあるものの、ゼロ効果を示す被験者が多くいるわけではないことがわかった。 第三に、集団Bは集団Aに比べて社会的選好の水準は高い傾向にはあるものの、推定された社会的選好パラメータを用いて別のゲームの結果を予測すると、(詳細はまだ検討中であるが)その予測の精度が集団Aに比べて優れているというわけでもないようであった。 したがって、社会的選好の水準に関しては異なる集団で違いが観察されたものの、その推定結果を用いて別のゲームを予測するという観点で言えば、集団AとBで頑健な結果になっていると期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
二つの集団で取得したデータを比べる段階にはきたが、それらの詳細な比較に時間がかかっている。特に、集団Bのデータに対して複数のモデルがどれほど当てはまるかの考察が遅れている。また、社会的選好の推定に基づき、別のゲームの結果を予測する状況で、予測の精度が低いことにゼロ効果がそれほど寄与していないとなると、そのメカニズムは何かについて有力な仮説を提示できていない現状であり、研究に遅れが生じていると言わざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
速やかに追加のデータ分析を行い、必要があれば追加の実験をした上で、これまでの成果を総合し、適切な学術誌への投稿を目指す。
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