ナイトの不確実性は、不確実性の度合いが深く、伝統的な経済理論で仮定されていたような、単一の確率で不確実性を記述することが難しい状況を分析することを目的として開発された。このような理論の代表的なものが、上で紹介したギルボアとシュマイドラーによる、複数の確率を仮定して不確実性を記述するモデルであり、近年、盛んに用いられている。 申請者は、拙著の完成後、エントロピー理論における重要な概念である「カルバック・ライブラーの情報量」と呼ばれる指標が、上記モデルと密接に関係していることに気が付いた。これを足掛かりとして、ナイトの不確実性を情報理論とを関係づける試みも本研究課題に含めたいと考えている。
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