研究課題/領域番号 |
19K01555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
白井 洸志 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (70609685)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 顕示選好理論 / 意思決定理論 / 限定合理性 / 逐次探索モデル / ランダム効用モデル / ノンパラメトリック分析 / ミクロ経済理論 / 部分識別 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では逐次探索的な選択問題について研究する。逐次探索的な選択問題とは、要は選択肢がリスト上に並んでいるような場面での意思決定であり、日常的な例で言えばSNSの投稿を上に並んだものから閲覧しながら「いいね!」をつける場面、あるいは予約サイトで表示されたホテルのリストから宿泊先を決定するような場面が挙げられる。本研究の主たる目的は、そのような場面で人々がどのようなプロセスで意思決定を行なっているのかを実証あるいは実験データをもとに検証する方法論を構築することである。
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研究実績の概要 |
本プロジェクトでは逐次探索的な選択行動について、経済主体の行動原理を顕示選好理論の観点から分析することに主眼を置いて研究を進めてきた。とりわけ2022年度以降はランダム効用モデルを前提とした分析、すなわち異なる選好関係を持つ人々の集団から得られたデータを前提とする分析を中心に取り組んできた
2023年度は前年度までに得られた成果を整理して論文にまとめる作業に加え、逐次選択モデルでの成果も踏まえ、より一般のランダム効用モデルそのものの顕示選好分析について大きな研究成果を得るに至った。選択行動に関するデータが与えられたとき、それがランダム効用モデルと整合的か否かを検証する方法については1960年代以降継続的に研究されているが、消費者行動の文脈ではKitamura and Stoye (2018, Ecma)による特徴づけが重要であり、様々な経済モデルの分析に応用されている。本プロジェクトでの成果として、線形計画法における双対定理および整数計画法でのChvatal rankの概念を用いることで、Kitamura and Stoyeの特徴づけについて、より簡明かつ計算上も有利な同値表現を得るに至った。さらに、本プロジェクトで得られた表現を用いる経済学的な利点として、データがモデルと非整合的と判定された場合に、データのどの部分がモデルと非整合的なのか、そしてデータ全体の最大何割がランダム効用モデルで説明可能なのかを同時に検証できる点が挙げられる。
より直観的に言えば、理論モデルとデータの整合性を調べるテストについて、より簡明な数学的表現を与え、かつデータと理論の非整合性が検出された時に、その原因と程度を同時に導出する方法が得られたということであり、これは意義のある貢献と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクト全体の大きな目標として、逐次探索モデルに関する顕示選好理論を実証分析に耐えうる形式(および一般性)で構築することを掲げてきた。2023年度についても前項にも述べたように、新たな成果が得られるに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
実施最終年(延長の1年)であるので、研究成果の公表に向けて論文を仕上げ、学術誌に投稿する。また学会報告や共同研究者と積極的に会合を持つことで、それらの作業をより効率的に行う。
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