研究課題/領域番号 |
19K01559
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
濱口 泰代 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (70399038)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 独占禁止法 / 課徴金減免制度 / 経済実験 / カルテル / リニエンシー制度 / 行動経済学 / 状況証拠 / 立証 |
研究開始時の研究の概要 |
企業がカルテルを形成することによって,価格を調整することは違法である.従来,談合などの違法行為の直接的証拠が得られない限りは,違法性の証明は困難であった.近年,直接的証拠に頼らずに,状況証拠によって,カルテルを立証できる可能性が経済学の観点から示唆されており,またEUの規制当局の報告書にも示唆されている. 違法行為に関わったとされる企業の違法性を立証する際に,公正取引委員会の裁量がどの程度認められるべきかについても重要な問題である. これらの点について改正が望まれるが,経済分析に基づいた議論が必要とされている. 本研究では,実験経済学の手法を用いて具体的な研究を進めていく.
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研究実績の概要 |
令和元年に改正された独占禁止法において,課徴金減免制度に調査協力減算制度が導入された.この新制度は,制度への申請順位2位以下の企業への課徴金の減算率の決定について,公正取引委員会の裁量が大きくなった.このような制度が導入された背景は,以前の課徴金減免制度ではカルテルの証拠が十分に集まらなかったためである.本研究の目的は,調査協力減算制度が,同制度を申請する企業に対して,証拠提供を抑制するようなインセンティブを与える可能性があるかどうかを検討することであった.コロナ禍で長期間,経済実験が実施できなかったが,2024年2月と3月にようやく実験をすることができ,その結果について2024年4月19日に,公正取引委員会競争政策研究センターのディカッションペーパー中間報告ワークショップで発表した.実験結果は概ね以下のようなものであった. ・協議において,企業が証拠量が変更できる場合と,変更できない場合で,提供される証拠量に明らかな有意差があるとは言えなかった. ・証拠量を変更できる場合と変更できない場合での,企業の利益の比較では,変更できる場合の方が有意に高かった(有意水準10%). ・協議において,規制当局が暫定的な減算率を企業に提示する場合,ライバル企業が提供する証拠量の情報を間接的に提供してしまう可能性がある. ・減算率の仮決定において,意図的に低い証拠量を提供し,ライバル企業にシグナルを送ることができる.しかし,本決定において,低い証拠量での協調は容易には起こらなかった. ・規制当局が与える暫定的な減算率に関する情報をもとに,企業側が間接的な協調をしないよう配慮する必要がある.
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