研究課題/領域番号 |
19K01570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 専修大学 (2021) お茶の水女子大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
板井 広明 専修大学, 経済学部, 准教授 (60405032)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ベンサム / 功利主義 / フェミニズム / 女性 / 公私二元論 / リベラリズム / 女性論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は特にJ.ベンサムの女性論と家族論を中心に、18~19世紀の功利主義フェミニズムの諸相を明らかにする。従来看過されがちであった功利主義哲学の論理とフェミニズム思想の関わりを明らかにするために、「最大多数の最大幸福」を標語に社会改革を構想したベンサムが、各人の幸福最大化のために、両性への平等な権利付与、女性に抑圧的な社会に存在する権力関係の改革、期限付き結婚制度の確立を主張するに至った思想形成過程を考察する。このようにしてベンサムの功利主義フェミニズムを『新ベンサム全集』の最新テクストや未公刊の草稿から再構成し、19世紀の多様なフェミニズムに対する功利主義の思想的インパクトを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、経済と生殖における再生産という観点から、夫婦のあるべき関係などについてのベンサムの議論を軸に据え、彼の功利主義から構想された経済社会に、いかにジェンダー的再生産の視点が組み込まれたのか、つまりベンサムのジェンダー平等な社会の構想を明らかにすることにある。 ベンサムの功利主義が各人の幸福の最大化のために、両性への平等な権利付与、女性を抑圧する社会の権力関係の改革、期限付きの婚姻制度を主張した論理や思想形成過程はいかなるものだったのか。また近代資本主義システムの経済循環の中で、それがいかなる意義をもつものなのかが究明すべき課題である。 しかし本年度も、コロナ禍のため、会議や学会、セミナーがオンラインで開催され、また渡英も叶わず、公刊されている資料に基づいてベンサムの結婚論・家族論の再検討を行なった。社会における根底的なジェンダー格差をベンサムがどう捉えていたかについて検討する最終年度であったが、W.トンプソン『人類の半数たる女性の訴え』との比較検討などを行ないつつ、当時の思想史上の布置を描き出そうと試みた。当時の女性らが置かれていた状況に対する認識、階級の違いへの着目、経済的な領域における不平等の現われをどのような原因にもとめているか、女性の解放を主張する立脚点は何かといった点での比較を通じて、ベンサムやウルストンクラフト、トンプソンらで共通している側面と異なる側面があることを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は2020年来、引き続くコロナ禍によるオンライン環境の整備などの手間に加えて、本務校がお茶の水女子大学から専修大学に変わったことにより、研究の進捗状況が予定よりも遅れることになってしまった。新たな勤務先での講義準備やセミナー、学内仕事のために、今年度に予定していた作業が想定通りには進まなかったため、やや遅れているという区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
概要にもあるように、ベンサムのジェンダー平等な社会の構想を明らかにすることが本研究の主要目的である。そのためには、既存のテクストとともに、ウルストンクラフトなど同時代のほかの思想家との比較を行なう必要がある。これらの作業は、現在手元にある資料でほぼ問題なく研究が進められるが、昨今フェミニスト経済学者による思想史研究の知見が深まっており、それらを参照して、当初の予定通りの研究を進めたいと考えている。
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