研究課題/領域番号 |
19K01575
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
松山 直樹 兵庫県立大学, 国際商経学部, 准教授 (80583161)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | アルフレッド・マーシャル / オックスフォード理想主義 / ベンジャミン・ジョウェット / アーノルド・トインビー / マーシャル / 潮汐学 / 公正賃金 / クールノー / 天文学 / 需給均衡理論 / 市場均衡理論 / 経済学史 / 科学史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,どのような人々が,どのような経緯で,自然科学の科学的手法を参考にして市場均衡理論を展開するに至ったのかについて議論を展開する.特に,本研究では,以下の三つの研究テーマに絞って,科学史や科学哲学の知見を借りながら,一次資料の綿密な分析に基づいて研究を遂行する.(1)19世紀イングランドの科学方法論,(2)経済学への解析的手法の導入,(3)需給均衡理論をめぐる研究者ネットワーク.
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研究実績の概要 |
◎当該年度は、研究成果について学会報告2件、論文掲載が1件であった。前者に関しては、経済学史学会第86回大会(オンライン開催)の共通論題において報告「マーシャルによる社会改良に向けた経済学研究 ―トインビーの賃金論との比較―」をおこない、第12回ケインズ学会(オンライン開催)では報告「マーシャルとトインビーによる公正賃金論 ―社会改良のための経済学研究とオックスフォード理想主義―」をおこなった。後者に関しては、History of Economics Review誌に論文「The Direct Impact of Alfred Marshall’s American Trip in 1875 on his Economic Analysis of Industrial Development」が掲載された。いずれの研究もマーシャルの市場均衡理論の形成過程における主要な論点を扱ったものである。 ◎学会報告では、経済学史関連の二つの学会の全国大会を通じて、マーシャルによる市場均衡理論の形成過程において、特に1880年代における公正賃金に関する彼の議論が、オックスフォード理想主義者の影響の下で形成されていたことに関する理解を提示した。 ◎学術雑誌に掲載された論文においては、マーシャルのアメリカ研究旅行は、彼の市場均衡理論の形成過程に影響を及ぼした最も大きな出来事のひとつであると考えられてきた。そのため、後年のマーシャルの経済学研究に対する彼のアメリカ産業研究の直接的な影響について議論を展開した。 ◎当該年度に対する研究計画との関連では、市場均衡理論の形成期におけるマーシャルの研究者ネットワークのひとつとして、オックスフォード理想主義者(ジョウェットならびにトインビー)との間で形成されたネットワークが存在することについて一定程度、明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の研究計画では、市場均衡理論の研究者ネットワークの特定を大きな課題に位置付けていた。現状では基礎的な情報収集が研究上不可欠であるため、コロナ禍で一定程度進展した国内外のデジタル・アーカイブのサービスを活用して、可能範囲で19世紀後半の一次資料等にアクセスし、そのうち市場均衡理論に関連を見出すことのできる、マーシャルを中心とする研究者群の見極めを行うことになる。 しかしながら、随時更新されつつあるとはいえ、研究者ネットワークの特定を既存のオンライン資料に依存せざるを得ず、一次資料の調査研究に基づいて独自の議論を展開することは実現できなかった。特に、数学者を含む科学者に関する調査は国内で収集可能な資料が不十分であるため議論が停滞した。結果として、当該年度においても出張の制約を伴うコロナ感染上対策により研究が大きく制約されたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、本研究プロジェクトの最終年度であることから、研究成果を広く社会に還元することを第一義とする。感染症対策が国内出張および海外出張にいかなる影響を及ぼすのかについて明確な見通しがたたないため、現状では昨年までの研究体制を前提として、現在アクセス可能な一次文献や二次文献等に基づいて調査研究を実施する。さらに、市場均衡理論の科学史的接近に関する研究プロジェクトの主要な論点をマーシャルの経済学の科学化構想に絞ることで、国内でアクセス可能な資料に基づいて詳細な議論を構築する。その研究成果は経済学史学会において研究成果を報告することとし、最終的にはその議論を論文化して学術雑誌への掲載を目指す。
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