研究課題/領域番号 |
19K01577
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
壽里 竜 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20368195)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ヒューム / ルソー / マンデヴィル / 啓蒙思想 / 啓蒙 / 反啓蒙 / 奢侈 / エピキュリアニズム / 文明社会 / エピクロス主義 / 18世紀 / 文明 / スコットランド啓蒙 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ヒュームとルソーにおける共通する思想の枠組みを比較思想史という観点から描き出すことにある。本研究課題で具体的に検討されるのは、ヒュームとルソーの知的コンテクスト(スコットランドとジュネーブの文化的類似点)、両者の人間本性論・言語論(とくにマンデヴィルからの影響)、正義論(プーフェンドルフ、エピキュリアニズムとの関連と、社会発展理論)、商業論(ルソーの小説『新エロイーズ』とヒュームの奢侈論との関連)である。これらは、ヒュームからの視点、ルソーからの視点、同時代人たちの両思想家に対する視点から多層的に描き出されなければならない。
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研究実績の概要 |
2023年度は、ケンブリッジ大学歴史学部の客員研究員として在外研究期間を過ごした。滞在中は、多様なセミナー参加などを通じて多くの研究者と交流・意見交換をしたほか、スコットランド大学とスコットランド国立図書館において資料調査も2度おこなった(その際には、グラスゴー大学名誉教授のクリストファー・ベリー氏とも本研究課題について意見交換をおこなった)。また、ケンブリッジ大学図書館に所蔵されている貴重な資料を渉猟し、キングス・カレッジのケインズ図書館に収蔵されているヒュームの草稿調査もおこなった。 また、偶然ではあるが、2023年度には18世紀思想史に関する重要な著作が、ケンブリッジ大学の研究者により出版された年であった。たとえば、ジョン・ロバートソン編『時間・歴史・政治思想』、マイケル・ゾーネンシャー『キャピタリズム』、ロビン・ダグラス『マンデヴィルの寓話』、リチャード・ホワットモア『啓蒙の終わり』などである。幸運なことに、これらの研究者たちと直接に知己を得て、思想史研究に関する最新の研究動向だけでなく、本研究課題の全体の構成や序文の草稿について多くの有益なフィードバックを意見交換をすることができた。 また、ブルームベリー社の『奢侈の文化史シリーズ 啓蒙(18世紀)』の巻に寄稿した一章「奢侈を定義する(Defining Luxury)」はすでに原稿そのものは完成しているものの、一部の寄稿者の急病などにより全体の出版計画にやや遅れが生じており、2024年度には出版される見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記のように、2023年度には在外研究に研究に集中する時間が得られたため、コロナ禍による進捗の遅れの一部を取り戻すことができた。とはいえ、家族同伴での海外への移動や現地での生活環境整備などにも時間を要し、また、とりわけ年度の後半には気候の違いによる体調不良もあり、研究課題の進捗状況はやや遅れ気味である。具体的には、本研究課題を最終的に取りまとめるための単著について、全体の構成、序文、ブック・プロポーザルについては完成しているが、それ以外の各章についてはアブストラクトの段階にとどまっている。とはいえ、一部は過去に国際学会などで報告した内容とも重複する部分があるため、2024年度はそれらをもとに残りの各章を仕上げていく。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては、2023年度の在外研究から得た貴重なフィードバックを活かし、研究課題をブラッシュ・アップしていく予定である。具体的には、以下の点に注力して取り組んでいく。 まず、研究環境の整備が必要である。パソコン側のOSのアップデートにより、古いパソコン周辺機器のサポートが外れてしまった問題に対応するため、新しい機器の導入や既存機器のアップデートを検討している。さらに、研究に必要な著書や論文を効率的に閲覧するために、電子リーダーとして使える端末(例えば、AmazonのKindleやiPadなど)を導入することも検討中である。また、研究計画にも柔軟に対応し、必要に応じて研究テーマやアプローチを微調整していく。 以上の取り組みにより、研究課題の遂行を加速し、有益な成果を得られるものと確信している。
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