研究課題/領域番号 |
19K01578
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
久松 太郎 同志社大学, 商学部, 教授 (60550986)
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研究分担者 |
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 山片蟠桃 / 大知弁 / 効率市場仮説 / 情報 / 堂島米市場 / 情報効率性 / ファーマ / ローダーデール / 鞘寄せ / 合理的再構成 / 経済格差 / 先物取引 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、山片蟠桃の経済学的叙述を一貫した理論として復元し、その政策面での有用性を示すことによって、わが国の忘れられた学術的遺産を再考する。近世日本の経済論が主に交換面での議論で構成されているのに対し、古典派経済学の創生・成熟期にあたる同時期の西欧では、生産・分配面での議論が主な構成要素であり、そうした面での経済厚生や救貧対策が論じられている。蟠桃の著作には、西欧古典学派において重要なキーワードが散見している他、分配に関する図解をも看取できる。彼の経済論を合理的に再構成し、それを日本経済史固有の文脈で復元することは、これまで十分に試みられることがなかった学術的に大きな意義をもつ作業である。
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研究実績の概要 |
2023年6月、本研究課題の主要目的である論文The Role of Information in the Rice Exchange: YAMAGATA Bant’s Great Knowledge (1806)がThe European Journal of the History of Economic Thoughtに掲載された。 この公表に際して、『大知弁』の英訳化が新たな問題として浮上したため、当初の研究計画を延長することにした。過年度と同様に、オンラインでJET(Japanese Economic Thought)研究会を実施し、『大知弁』の英訳化作業を実施してきた。具体的には、(1)分担者がくずし字からの翻刻を行った上で、(2)代表者・分担者がそれを現代語訳し、(3)代表者が英文化したものを、(4)分担者がチェックするという体制で作業を進めてきた。現在半分以上の作業を終えている。 研究分担者は、本研究課題に関係するものとして、(山片蟠桃が主張する)市場メカニズムを通じた米穀需給ギャップの調整が実現していたか否かを検証すべく、古気候学者と共同で、江戸時代日本の日射量データと大坂米価の関連を検証する論文を執筆し、水文・水資源学会/日本水文科学会 2023年度研究発表会にて報告を行った。具体的には、全国18ヶ所の日射量変化が、大坂米価の変動とどのように関連するかを議論しているが、そこで明らかになったことは、局地的な日射不足については、大坂米価は反応しない、つまり市場メカニズムを通じて、供給が落ち込む地域が出ても調整が可能であること、そして面的に広がりを持つ日射不足が発生した場合には、大坂米価は高騰することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度前半は順調に進んでいたが、途中、代表者の研究外業務と分担者の別の研究との関係で中断を余儀なくされた。しかし、オンラインで共同作業ができない間も、個別に作業を進めていたこともあり、『大知弁』の粗訳は完成した。残された作業は、粗訳をJET研究会でチェックすること、さらに(可能な限り日本経済史または日本経済思想史に精通した)ネイティヴ(の研究者)によるチェックを受けるとことである。 以上より、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
『大知弁』の完成した粗訳をJET研究会でチェックし、まずは代表者・分担者によって英訳化を完成させる予定である。その後、日本経済史または日本経済思想史に精通したネイティヴの研究者を研究協力者として、本研究課題の遂行に参加してもらう予定である。完成原稿はディスカッション・ペーパーとして発行した後に、どこかの学術誌への掲載を依頼する予定である。
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