研究課題/領域番号 |
19K01580
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 富山短期大学 (2021-2022) 茨城工業高等専門学校 (2019-2020) |
研究代表者 |
井坂 友紀 富山短期大学, 経営情報学科, 准教授 (60583870)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 権利論 / George Poulett Scrope / Isaac Butt / 自然法学 / Theory of Rights / Ireland / Colonization / アイザック・バット / エドマンド・バーク / 自然権 / 自然法思想 / Political Economy |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,19世紀前半のイギリスの経済学説にみられる自然法思想の影響を検討するものである.自然法思想を槓桿に誕生した経済学がその確立に伴い前者を不要化したとする既存見解は,経済思想史の実態に照らしてどこまで妥当であるか.この点を明らかにすべく,(1)これまで大きく注目されてはこなかった非主流派経済学者の著書・論文,(2)議会資料,(3)各種新聞の論説の3種類の資料を収集・整理し,これらを総合的に検討する.
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研究成果の概要 |
本研究は,19世紀前半の,とりわけアイルランドを研究課題とした経済思想家の言説において,自然法思想の影響が強くみられたという事実を明らかにした.本研究の主要な検討対象は,スクロウプ(George Poulett Scrope, 1797-1876)とバット(Isaac Butt, 1813-1879)である.両者は共に権利論をベースにアイルランドの貧困問題の解決策を論じ続けた.ここでは富者の財産権と貧者の生存権との対立が資本の生産力による富の増大によって緩和されることはなく,「市場の言葉」は説得力を持たなかったがゆえに,彼らは「権利の言葉」を用いざるをえなかったのである.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究結果の学術的意義は,自然権を中心とする自然法思想が,経済学の成立以降も,広く影響力を持ち続けた可能性を示した点にある.これまで経済学と自然法思想の関係については,主として後者を槓桿とした前者の成立という文脈において検討がなされてきた.そして経済学の成立以降は,自然法思想の担い手は,「ゴドウィン的無政府主義」(内田義彦)や「小市民急進主義」(水田洋)へと変わっていくとされた.本研究で検討したスクロウプとバットは共に自然権論を積極的に展開してきたが,彼らは「無政府主義」とは程遠い保守的な側面を有していた.19世紀の経済思想においても「権利の言葉」は想定されてきた以上に広く生き続けた.
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