研究課題/領域番号 |
19K01614
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
行武 憲史 日本大学, 経済学部, 教授 (80804690)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 災害の損失評価 / ケイパビリティ・アプローチ / 福島原発事故 / 被災者の幸福の回復 / 均衡ソーティングモデル / 能力アプローチ |
研究開始時の研究の概要 |
福島原発事故は、自主的・強制的な避難など居住者に損害をもたらした。災害の損害に対する正確な評価は、復興のための補助金や補償を決定する上で重要である。 損害計測の代表的手法であるヘドニック法は、居住者の均質性など仮定が厳しく、推定結果の解釈に制約が伴う。まず、本研究では、放射能汚染による被災者の居住行動を直接的に観察した上で、居住者の不均一性を考慮した損失を計測する。 また、現在の補償は市場取引価格が評価の根拠となっており、強制的に移住をした被災者に対して正確な評価となっていない可能性がある。被災地主の土地の主観的評価を整理し、こうした要因が補償に反映されているかについても検証を行う。
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研究成果の概要 |
本研究は、東日本大震災・原発事故による損失を、多角的に計測することを目的としている。そのため、まず原発事故による放射性物質による汚染が人々の居住行動に与えた影響を国勢調査により直接的に検証した。その結果、子育て世代が放射能汚染を回避する傾向が強く放射能汚染の影響の異質性が確認された。 次に、震災・原発事故により強制的な移住をした人々の損失の評価を行うため、ケイパビリティアプローチをもちいて主観的幸福度(SWB)の要因を分析した。その結果、家計の主観的幸福は、健康や余暇といった複数の次元にわたる要因で構成され、災害損失の補償を資産ベースでおこなう従来アプローチは不十分である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地震や原発事故などの被災者へ補償は金銭的な補償を中心に行われることが多く、例えば不動産の補償額の算定は市場価格を根拠として行われている。しかし、こうした被災者は本来移住をする意思のなかった人々であり、市場価格と被災者の自己評価の間に乖離が生じている可能性がある。 本研究では、同じ震災のショックであったもその影響は人々の状況で異なる可能性が示され、主観的幸福度に影響する金銭的側面以外の要因を確認した。 人々の幸福度の回復が復興の目的だとするならば、金銭的補償を中心とした政策だけでは十分でなく、災害によって失われたものの機能やそれを利用する力の回復が復興政策において重要であるといえる。
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