研究課題/領域番号 |
19K01647
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
山下 隆之 青山学院大学, 地球社会共生学部, 教授 (20252158)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 人口流出 / 重力モデル / システムダイナミクス / 産業連関分析 / 産業構造 / サービス経済化 / システム・ダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
2016年に政令指定都市である静岡市で転出が転入を上回る転出超過を記録し、人口流出がにわかに県政上の重要課題となった。 戦後の長い期間に亘って、地方都市から東京圏へ移動する人口の中心は若い男性であり、静岡県も例外ではなかった。しかし、現在の静岡県では若い女性ばかりが県外へ流出するという新しい現象が生じており、その傾向が年々強まっている。 そこで、第3次産業を巡る女性の就業動向が地方経済の成長に与える影響を注視しながら、この人口流出問題の原因を調べる。さらに、少子化対策のみならず経済成長の視点から、背後にある日本の産業構造の変化とその課題を探る。
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研究実績の概要 |
本研究は人口の移動と経済活動との関係を探ることを目的としている。計画時には想定されていなかったCOVID-19による出張の禁止、キャンパスへの入構制限、研究補助予定者の相次ぐ感染により、計画の目標を絞りながら人口移動の研究を進めている。 人口流が経済を活性化させる産業の代表例と従来考えられてきた観光産業に注目した。とりわけ大都市近郊の観光地は移住者を引き寄せることも多い。また、人流の変化が収入の多寡に直接結びつくために、当該地域の経済成長を推測しやすい。そうした観光地の中から静岡県伊豆半島地域を取り上げて実証分析を進めた。県内居住者による訪問が数年に及ぶコロナ禍にあってもさほど減少がみられなかったのに対して、県外居住者による訪問はコロナ禍に激減し回復も遅れている。長期的な観光需要は上昇トレンドにあるものの、観光サービスの供給が減少傾向にある。この需要面(観光客数)と供給面(就業者数)の将来動向を予測し、今後の経済動向を考察することとした。観光への依存度がとりわけ高い伊豆半島南部の賀茂地区において、観光サービスにおける就業者不足が深刻化していることもわかった。観光サービスの需要と供給のフィードバックを組み込んだ分析モデルを作成し、シミュレーション分析を行った。 人口および就業者の移動に関しては、本研究の計画段階から日本のバブル経済期のサービス産業の動向に注目している。そのアイデアの一般性を確認するため、ごく短期間にバブル経済とその崩壊を経験した国としてタイ王国を選び、検討を加えた。バブル期に潤ったサービス産業の活況が、わが国以上のペースで就業者の産業間移動を加速させていたこと、そしてそのことがバブル崩壊後の経済成長の停滞につながっていることが分かった。この成果を国際学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.学内業務による遅れはあるものの、今年度はデータ編集を進めることができた。人口流出入と生活満足度調査(内閣府)との関連などを調べている。英語論文として執筆を始めている。 2.人流と観光に関する分析は十分に進展した。研究成果を2本の論文にまとめ、2024年度に順次発表していく。
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今後の研究の推進方策 |
人口移動と経済活動との関係について実証分析を進めるのが本研究をスタートさせたときの目的であるが、新型コロナウイルスの流行により外出自粛が求められていた期間、経済成長の理論研究に時間を割いた。その成果の一つとして、経済成長の進展が生産性の低い産業への資源配分を伴う二部門経済成長モデルを完成させたことがあげられる。この理論的枠組みを援用して、人口移動の背景にある労働力移動の影響を明らかにしたい。
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