研究課題/領域番号 |
19K01662
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
内藤 巧 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80314350)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 最適関税 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,動学的視点から大国の最適関税を再考する.もしある国の関税の引き上げが成長率の低下を通じてその国の長期的厚生を低めるという悪影響が十分強ければ,その国が大国であるにもかかわらず最適関税がゼロとなる状況が現れるのではないだろうか. 自ら開発してきた企業の異質性及び国の非対称性を考慮した経済成長モデルに輸入関税と関税収入を導入し,動学的最適関税がゼロとなる条件を導く.現実の米中間貿易データを用いて推定されたパラメーターがその条件を満たせば,米中貿易戦争の不合理を指摘できる.
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研究成果の概要 |
本研究の目的は,大国にとって最適関税はゼロとなり得るか,またそれはどのようなときか,を理論的に明らかにすることである.特に,動学的視点から大国の最適関税を再考する.自ら開発してきた企業の異質性及び国の非対称性を考慮した経済成長モデルのうち,研究開発に基づくモデルと資本蓄積に基づくモデルに,輸入関税と関税収入を導入し,最適関税を特徴付け,それらを比較する.
研究開発に基づくモデルでは,大国にとって最適関税はゼロとなり得ることを発見した.一方,資本蓄積に基づくモデルでは,大国にとって最適関税はゼロとなり得ないが,より生産性が高い(経済的に大きい)国がより低い最適関税をかけることを発見した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2018年米中間で起こったような,各国がお互いに正の最適関税を掛け合う「貿易戦争」は,世界的な自由貿易に比べて全ての国の厚生を低める,いわば囚人のジレンマをもたらす.従来の国際貿易論における大国にとって最適関税が正となるという結果が,その理論的な根拠であった.
本研究では,関税引き上げが経済成長率を低めるという動学的視点を導入すると,大国にとって最適関税はゼロとなり得ることを示した.これは,各国が自発的に(相互性に依存せずに)自由貿易を選択するための強い根拠をもたらす.
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