研究課題
本研究では,動学的視点から大国の最適関税を再考する.もしある国の関税の引き上げが成長率の低下を通じてその国の長期的厚生を低めるという悪影響が十分強ければ,その国が大国であるにもかかわらず最適関税がゼロとなる状況が現れるのではないだろうか.自ら開発してきた企業の異質性及び国の非対称性を考慮した経済成長モデルに輸入関税と関税収入を導入し,動学的最適関税がゼロとなる条件を導く.現実の米中間貿易データを用いて推定されたパラメーターがその条件を満たせば,米中貿易戦争の不合理を指摘できる.