研究課題/領域番号 |
19K01665
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
川脇 康生 関西国際大学, 経営学部, 教授 (80806737)
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研究分担者 |
石田 祐 宮城大学, 事業構想学群, 教授 (20455554)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ソーシャル・キャピタル / レジリエンス / 生活復興 / 東日本大震災 / コミュニティ / 復興格差 / 社会的ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
災害多発時代を迎え、人口減少・高齢化の進むわが国では、地域の災害対応力をどのように維持し高めていくか、大きな課題となっている。地域コミュニティの役割に大きな期待が寄せられているが、かつての農村社会とは異なり、都会化された現代社会のコミュニティにおいて、住民同士の緊密な付き合いを復活させ、防災活動を展開するのは容易ではない。 本研究では、平時の地域活動等を通じた住民同士のゆるやかなつながりを前提としつつも、災害時や非常時にネットワークが活性化され対応力を発揮している被災地コミュニティの現状を定量的・定性的に分析することで、現代版のレジリエンスのあるコミュニティのあり方を考えるものである。
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研究実績の概要 |
災害多発時代を迎え、人口減少・高齢化の進むわが国では、地域の災害対応力をどのように維持し高めていくか大きな課題となっている。本研究は現代社会における地域住民同士のつながりがそれほど緊密でない社会環境を前提としつつも、災害時や非常時には地域のネットワークが活性化できるレジリエンスのあるコミュニティを考えるものである。 研究1年目の2019年度は、国際ワークショップと東北被災地の現地調査を行い、地域住民間の社会資本と生活復興との関係について考察を深めた。とりわけ国際ワークショップでは、ゴトン・ロヨンなど地域住民間の協力関係が習慣化されているインドネシアの事例について現地研究者から情報を提供してもらった。 研究2年目の2020年度はこれまでの活動で得られた知見をもとに、データを用いた定量分析の結果も加えて研究論文をまとめ、学術雑誌において成果発表を行った。住民間の信頼関係や多様な主体の参画を認めるコミュニティにおいて、災害後、協力活動がより活性化され、復興格差の是正、被災地住民の前向きな復興努力やより明るい将来予測につながることを客観データにより示すことができた。 研究3年目の2021年度は、被災地内での協力関係を超えて、国民全体が東北被災地を支える仕組みとして、ボランティア活動や金銭寄付により支援を行うことの意義について考察し学会で発表した。また遅れていた東北被災地住民の生活復興に関する質問紙調査を実施し、約2500の有効サンプルを得た。震災後3年目と11年目で2時点の生活復興に関するパネルデータを整備することができた。 研究4年目の2022年度は、引き続きボランティア活動や金銭寄付に関する研究を進めた。また、東北での災害回復力あるコミュニティづくりの知見をいかし、今後、南海トラフ地震・津波の被害が想定される地域で、地域住民主体の防災ワークショップをサポートし、成果を学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、災害対応力強化のための地域の社会的ネットワークの役割と意義を、東北被災地の生活復興とコミュニティの現状を長期間にわたり詳細に調査することにより、明らかにしていこうとするものである。その目的達成のため、2013年12月に東北被災地を対象に実施した生活復興調査の成果を基盤としつつ、新たに質問紙調査、事例調査、国際比較調査を本科研費を用いて実施することとしていた。 2020年に予定していた被災地住民に対する質問紙調査は、コロナ感染症の拡大に伴う外出制限など、人々の社会生活の変化や、研究代表者の業務上の都合等のため延期し、2021年末に実施することとなった。その結果、当初予定の2021年度末までの3年間では、研究成果を上げることはできなかった。 2022年度は、これまでの収集データを整理し分析するとともに、これまでの研究成果を生かし、発展・応用させる形で、ボランティア活動や金銭寄付に関する研究、地域コミュニティの防災力向上の市民の取組を支援する活動を行った。
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今後の研究の推進方策 |
当初3年間の予定であった研究期間を5年間に延長する。東日本大震災3年後と11年後の2時点の詳細な生活復興に関するパネルデータが整備できたので、今後、当該データを用いた実証分析によって、長期間の生活復興過程の実態を把握するとともに、被災地住民間の社会的ネットワークが災害回復力にどのような役割を果たしてきたのかを明らかにする予定である。 また、東北被災地での知見を、南海トラフ地震・津波の被害が想定されている地域での住民主体の防災活動に活かしていく。住民ワークショップの支援や地区防災計画の作成支援などにつなげていく予定である。
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