研究課題/領域番号 |
19K01671
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
青木 周平 信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (00584070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 金融部門の成長 / 大分岐 / 投資信託 / 金融の成長 / 経済格差 / 産業革命 / 動学的一般均衡モデル / 資産選択 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「1980年代以降、アメリカにおいて金融部門に大きな変化が見られること」と「20世紀のアメリカにおいて、長期的に所得・資産格差の増減に大きな変化が見られること」の2つの事実に焦点をあてる。本研究では、これらが生じた原因を家計の資産選択を考慮した動学的一般均衡モデルを用いて定量的に説明することを試みる。本研究で開発する事実と整合的な動学的一般均衡モデルは、金融部門の変化や長期の所得・資産格差についての要因・メカニズムを経済学的に明らかにするものである。その成果はマクロ経済学や金融経済学などの複数分野の発展に寄与し、さらに、国内外の経済施策へ有用な知見を提供することが期待できる。
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研究実績の概要 |
2022年度は以下の2つの研究を遂行した。 1. 1980年代以降のアメリカ金融部門の変化に関する4つの事実を定量的に説明する動学的一般均衡モデルを構築した。本モデルの特徴は、家計が、個別ショックを受ける個別株と、複数の個別株を組合せたポートフォリオからなる投資信託を、それぞれどの程度保有するか意思決定する点にある。本研究では、1980年代以降のアメリカ金融部門が成長した理由は、金融のイノベーションや税制の変化により、家計の資産の中での個別株の割合が減り、投資信託の割合を増えたことにあったとする。2022年度は、個別株が個別ショックに加えて受ける経済全体のショックをどのようにモデル化するか検討を行った。複数の個別株を組み合せたポートフォリオからなる投資信託では、個別ショックは大数の法則により消えるが、経済全体のショックは消えずに残る。経済全体のショックのモデル化の方法として、(1) 先行研究におけるアグリゲート・ショックとしてモデル化する方法と、(2) 複数の島からなるモデルを構築し、島へのショックとしてモデル化する方法の2つがある。現実の経済において、経済全体のショックは定量的に大きくはないこと、(2)の方法が分析が容易でかつ直観的な解釈が可能となるため、主として(2)の方法を採用することとした。あわせて、偏微分方程式の数値解法に関する検討も行った。2022年度は、本研究の初稿を完成させて、1月にはセミナーでの報告を行った。 2. 本研究では、交付申請書に記載した研究目的である「長期の経済格差」に関し、19世紀以降のイギリスと中国の間で「大分岐」と呼ばれる1人当たり所得の大きな格差が生じるようになった原因についても、理論的研究を行った。2022年度は、この研究をセミナー等で報告し、そこでもらったコメントを元に論文を改訂する作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で説明した1の研究に関しては、初稿は完成し、現在共著者との間で改訂作業を進めている。この点に関して、本研究課題はほぼ遂行されている。「研究実績の概要」で説明した2の研究に関しても、初稿は完成し、現在改訂作業を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で説明した1の研究に関しては、2023年度、共著者の間で各セミナーなどで研究報告を行う予定である。「研究実績の概要」で説明した2の研究に関しては、2023年度は、改訂作業を行った後で、英文誌への投稿を行いたい。
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